中国の百度が遊び心で狙うAIの勝者の座
レイブンHのデザインのアプローチは先行品とはまるで異なる Baidu Online Network Technology (Beijing) Co., Ltd
<軽やかな製品デザインはアメリカの先行組を追い上げる強力な武器>
テクノロジー業界で今、とりわけ興味深い企業といえば中国の百度(バイドゥ)だ。製品デザインを武器に、アメリカのテクノロジー最大手と渡り合おうとしている。
インターネット検索エンジンの世界で頭角を現した百度だが、近年では人工知能(AI)の技術力強化に力を入れている。同社のAI部門は1300人を擁する大所帯で、多額の投資によって自動運転車の分野でも、家庭向けAI製品の分野でもグーグルやアマゾン・ドットコムといった先行組を追っている。
11月に開催された新製品の発表イベントで、百度はバーチャルアシスタント分野における同社初の製品となるAIスピーカー「レイブンH」とロボット2種を発表した。
レイブンH(12月発売予定、256ドル)は、アマゾン・エコーやグーグル・ホーム、アップルのホームポッドの競合という位置付けだ。百度の対話型AIプラットフォームを使い、音声による指示で情報を検索したり音楽を再生したりタクシーを呼ぶといった作業をこなすという(このプラットフォームは既に100を超える中国メーカーの製品に採用されている)。
開発を担当したのは百度の子会社レイブン・テックとスウェーデンの家電メーカー、ティーンエイジ・エンジニアリングだ。
機能だけ聞くとよくあるAIスピーカーという印象だが、見た目は全く違う。先行品の多くは円柱形で、当たり障りのない色の布や網状に穴の開いたプラスチックで覆われている。だがレイブンHはスピーカーにはとても見えない。
色鮮やかな四角く薄いブロックが積み重なった小さなタワーといった趣で、一番上のブロックを持ち上げるとタッチパネル式のコントローラーが姿を現す。電源コードも昔の電話を思わせるくるくる巻いた赤いケーブルで、遊び心が感じられる。
また、同時に発表されたロボット「レイブンR」は映画会社ピクサーの電気スタンド形のキャラクター、ルクソーJrか現代アート作品かと思うような外見だ。6つの関節を持ち、ユーザーの指示を受けると動く。この動きによりロボットが感情を表しているような印象を与え、ロボットとのやりとりを楽しく演出するわけだ。一方、開発中の「レイブンQ」にはコンピュータービジョンなどの最新技術が搭載される予定だという。