ブレグジット&ザ・シティ イギリス金融界は没落していくのか
●バーやレストランの新規開店数
ロイターはさらに、シティ・オブ・ロンドン自治体にも情報公開請求を提出した。今年の新規店舗によるアルコール類販売ライセンス申請の件数と、既存店のライセンス更新件数を調べるためだ。
今のところ、この部分ではブレグジットの影響は何も見られない。シティ・オブ・ロンドン自治体のデータによれば、2017年1─8月にシティ・オブ・ロンドン地区内でアルコール販売ライセンスを新規申請したバーやレストランなどの店舗数は、過去最高を記録している。
同自治体の職員によれば、その原因の一端は、ここ数年、同地区におけるナイトライフが多様化しており、いまや金融産業関係者向けの飲食提供に限定されていないからだという。
同自治体は「私たちはナイトライフの拡大する安全なシティを実現している」とコメントしている。
●ロンドン・シティ空港
欧州各国の都市などへのフライトで企業幹部が愛用するロンドン・シティ空港の利用客数は、公開されている搭乗客数を見る限り、過去5年間で最も小幅な増加となっている。
カナリーワーフ金融地区に近い同空港の今年1─6月の搭乗客数は0.9%増加。過去4年間の平均では年10%増加している。
ロンドン・シティ空港は、2012年以来、過去最高の乗客増加ペースが続いていたが、ピーク時間帯の処理能力に限界があり、拡張を模索していると述べている。
●雇用数
人材派遣会社モーガン・マッキンリーによれば、今年、ロンドンの金融サービス産業での雇用件数は過去5年間で最大の減少を記録した。
金融産業向けのスタッフ雇用を専業とする同社によれば、データの基準は、同社が受託した人材募集の総数であり、これにロンドンの金融産業における同社の市場シェアに基づく係数を掛けている。
モルガン・マッキンリーによれば、今年1─7月の金融サービス産業による新規雇用の創出は5万1922人で、前年同期に比べ10%の減少となっている。これは2012年以来最も低い募集件数だ。
モルガン・マッキンリーでディレクターを務めるハカン・エンバー氏は、「ブレグジットをめぐる不確実性があるため、企業は自然に、雇用の拡大を計画、実行することを躊躇している」と語る。