ブレグジット&ザ・シティ イギリス金融界は没落していくのか
●商業用不動産価格
ロイターは、英不動産セクターの最大手、サヴィルズとナイトフランクから不動産データを得ている。サヴィルズは、シティ・オブ・ロンドン地区内で判明しているすべての不動産取引に基づいて不動産価値を計算しているという。ナイトフランクのデータは、オーナー、デベロッパー、不動産代理店から集めたものだ。
サヴィルズによれば、シティ・オブ・ロンドンの商業用不動産価格は、2016年6月の英国民投票の後、グローバル金融危機の最後の年となる2009年以降で最大の下げ幅を見せている。
シティ・オブ・ロンドン地区の不動産賃貸価格は、9月末時点で、前年の1平方フィートあたり77.6ポンドから73.4ポンドへと約5%の下落を示している、とサヴィルズは指摘する。
だが、サヴィルズで欧州商業不動産リサーチ部門を率いるマット・オークリー氏によれば、2017年第1・四半期から第3・四半期にかけて、シティ・オブ・ロンドン地区における賃貸活動は、長期的な平均値よりも17%多かったという。
ナイトフランクによれば、カナリーワーフ地区の価格は昨年に比べて変化していない。
サビルズのオークリー氏は、グローバル金融危機以降初めて、金融・銀行セクターが「(旧ドック地区であるカナリーワーフで)新たなオフィススペースを探すようになった」と話す。
●地下鉄利用客
シティ周辺の主な地下鉄駅であるバンク、モニュメント両駅間は、平日1日あたり20万人以上の利用客を記録し、ロンドンで最も混雑する駅となっている。
この両駅及び地下鉄カナリーワーフ駅の利用客数を調べるために、ロイターは公共交通を運営しているロンドン交通局に情報公開法に基づく公開請求を提出した。
ロンドン交通局のデータは、バンク、モニュメント両駅の利用客数が、グローバル金融危機以降初めて減少傾向にあることを示している。
両駅の2017年1─8月の乗降客数は、前年同時期に比べ2.7%減少した。それまでは2009年以降、毎年増加していた。
カナリーワーフ駅では、利用客数の増加が続いている。だがロンドン交通局のデータによれば増加ペースは鈍化しており、今年1─7月の増加率は2009年以来2番目に小さかった。
ロンドン交通局の広報担当者によれば、バンク駅の拡張に向けた多年度プロジェクトが2015年末に始まり、結果として一部のエスカレーターが一時的に閉鎖されたが、それによって列車の運行本数が減らされたことはないという。