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オーストラリアに反移民旋風は吹き荒れるか 極右ワンネーション党首の賭け

2017年11月20日(月)17時36分


フィッシュ・アンド・チップス

現代オーストラリアで極右運動が生まれたのは1996年、かつて炭鉱の中心地だったクイーンズランド州イプスウィッチにおいてだった。ここでハンソン氏は、フィッシュ・アンド・チップスの店を営みながら、同市の市議会議員に当選した。

同氏は下院での初演説で「アジア人に飲み込まれる」と警告し、ワンネーションを共同で設立した。当初はいくつかの選挙で成功したが、その後内紛により自滅した。

同党内部の権力争いと、2003年にハンソン氏が選挙活動に関する詐欺容疑で11週間収監されたことにより、同氏の勢いは止まり、その後、有権者との固い絆を取り戻すのに何年も苦労することになる。

イプスウィッチから出馬している労働党のジェニファー・ハワード議員は、同地域について、ハンソン氏が台頭した1990年代は主に白人で占められていたが、現在の人口は多様化しており、ワンネーションの勝利は容易ではないと指摘する。

ハワード議員は1980年代後半、子どもたちをハンソン氏の店によく連れて行ったとし、「娘は私に『なせあの女性はいつもあんなに怒っているの』とよく聞いてきた」と当時を振り返った。

ハンソン氏の政敵に対する激しい怒りは、自身の国家主義的政策のより良い賛同者が現れるまで収まりそうもないように見える。それはまだ起こりそうもない。過去には党指導部の変革に失敗している。新たな極右政党も台頭しているが、そうした政党が集める支持はハンソン氏に遠く及ばない。

そのうえ、あからさまな反移民政党は人口動態の波に逆らっている。国勢調査のデータによると、オーストラリア国民の3人に1人は現在、海外生まれである。20年前は5人に1人だった。

それは、かつてハンソン氏が営んでいたフィッシュ・アンド・チップスの店でも明らかで、現在その店はベトナム系移民の女性が経営している。彼女は同氏について「興味深い」と語ったが、誰に投票するかは明らかにしなかった。

店のメニューはアメリカンドッグのように当時とほぼ同じだが、ベトナムの春巻きなど輸入されたメニューも一部含まれている。

(翻訳:伊藤典子 編集:山口香子)11月16日、反移民を唱えるオーストラリアの右翼政党「ワンネーション」のポーリーン・ハンソン党首(写真)は、過去20年で最高の結果をもたらすため、頼みとする北東部クイーンズランド州で遊説を重ねている。同州で10日撮影(2017年 ロイター/Jonathan Barrett)

Jonathan Barrett

[タウンズビル(豪州) 16日 ロイター]


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