北朝鮮外交官が酒の密売? パキスタンの窃盗被害で発覚
大使館の圧力
イスラマバードに駐在する外交官の間では、駐パキスタンの北朝鮮外交官が酒の密売に関与しているのではないかとの疑いが長年ささやかれてきた。
北朝鮮とパキスタンの歴史的な関係もあり、パキスタン政府は北朝鮮人による酒の密売に見て見ぬふりをしてきたのではないかと外交官らはみている。パキスタンの核開発の父と呼ばれるアブドゥル・カディル・カーン博士は2004年、北朝鮮に核開発の方法を売却したと述べている。
パキスタン政府は、北朝鮮外交官による密売行為の監視が不十分だったことを否定する。パキスタン外務省の報道官はロイターに対し、「そのような行為はこれまでも、そして今後も許容されることはない」と述べた。また、「パキスタンは今回の件を積極的に捜査しており、もし不謹慎な行為があったことが証明されれば、国内法や国際法にのっとって処罰する」とした。
イスラマバードの米国大使館は今夏、日本や韓国の大使館と共同で、パキスタン外務省に対し、北朝鮮大使館の人員が多すぎるとの苦情申し立てを行った。輸入した酒類の転売による北朝鮮政府の資金稼ぎを締め付ける狙いがあったと、イスラマバードやソウルの外交筋は話す。
ソウルの関係筋によると、日本と韓国の大使館は、こうした申し立てを1年以上にわたって行ってきた。日本外務省筋は、こうした経緯は把握していないと述べた。
ソウルの関係筋によると、パキスタンには、イスラマバードとカラチに計12─14人の北朝鮮外交官が駐在しているとみられる。パキスタン中央銀行のデータによると、北朝鮮とパキスタンとの公式な貿易は2016年8月以降停止しており、なぜこれほど多くの外交官が必要なのかいぶかしむ声が外交筋の間で上がっていた。
パキスタン外務省は、北朝鮮大使館に駐在する外交官の規模について他国から圧力があることに関する質問には回答しなかった。