文在寅、現職大統領で初訪問 支援と不介入を約束した釜山国際映画祭
日本人としては、それだけ韓国人の目に留まる優秀作品が多かったのかと嬉しくなる一方で、韓国内の一部の意見としては、映画の多様性の面で不満が上がっていたようだ。
また、映画「ブラック・スワン」の監督として知られるダーレン・アロノフスキー監督の最新作「マザー!」主演のジェニファー・ローレンスが映画祭参加のため、去年の年末に続き2度目の訪韓が予定され、今年の映画祭の目玉ニュースと期待されていたが、直前で訪韓を取りやめるなど寂しいニュースもあった。
寂しいニュースといえば、韓国政府から映画祭への支援金が減少の一途をたどっている。一番のピークだった2014年には15億ウォン(約1億5千万円)にものぼった支援金も、翌年2015年には8億ウォン(約8千万円)。今年はさらに減少し7億6千万(約7600万円)と、3年前の半分にまで減ってしまった。
文在寅が現職の大統領として初の訪問
そんな中、今年一番注目を集め、映画祭を盛り上げた話題と言えば、「文在寅(ムン・ジェイン)大統領の映画祭訪問」だ。今まで大統領が任期中に映画祭を訪れたことはなかった。さらに、大統領はこれからも持続的な支援を強く約束し、「過去"左派の映画祭"だと、支援を口実に政府や釜山市が干渉をしてきた。しかし、今後は支援はするが、運営に関する口出しはしない」と、語った。
そもそも去年、ボイコットが巻き起こった理由は、朴政権当時の行政が映画祭という大衆文化に介入しコントロールしようとしたことだった。セウォル号沈没事故を扱ったドキュメンタリー映画「ダイビングベル セウォル号の真実」が事実を歪曲した内容だとし、映画祭での上映を止めるよう指示したが、映画祭の実行委員会はそれを無視し上映を強行して騒動となった。文大統領は、それに対し当時の行政側を批判したうえで今後の支援の約束したのだ。この発言は、今まで戦ってきた釜山国際映画祭関係者及び、韓国の映画人たちにとってとても意味のあるものとなった。
文大統領は慶尚南道の巨済島出身で、比較的近い韓国本土の釜山に強い思い入れがあるようだ。大統領になる前にも映画祭に2度も訪れている。今回、文大統領は15日上映された「女は冷たい嘘をつく(原題:ミッシング 消えた女)」を一般観客と共に鑑賞し、上映後の監督・出演者のQ&Aにもともに参加。観客らも大いに沸き、文大統領への歓迎ぶりからその人気が伺われた。実際、釜山国際映画祭訪問のニュースが報道された翌日の16日には、13日(14,15日は土日。週明け16日の支持率を確認)に比べ文大統領の支持率が0.8%アップ、69.1%となった。