文在寅、現職大統領で初訪問 支援と不介入を約束した釜山国際映画祭
「ナラタージュ」でアジアスターアワード賞を受賞した有村架純 (c) BIFF / YouTube
<昨年はさまざまなトラブルに見舞われた韓国・釜山国際映画祭。今年は果たしてどんなプログラムと映画人、そして話題が集まった?>
今年も韓国の映画界にとっては秋の風物詩ともいえる「釜山国際映画祭」が開幕、22回目を迎えた今年は10月12日から21日まで開催された。
去年は映画「ダイビングベル セウォル号の真実」が引き金となって巻き起こった当時の朴槿惠(パク・クネ)政権率いる行政の介入に反対した映画関係者たちのボイコット問題や、それに追い打ちをかけるように台風が直撃し、映画祭中に予定していた様々なイベントを中止せざる負えない状況になるなど、ネガティブな話題が多かった(拙稿「セウォル号、接待禁止に台風直撃 韓国社会の問題が噴出した釜山映画祭」参照)。その結果、来場者数はそれまでの平均来場者数22万人から16万5000人と大きく落ち込んでしまった。
さて、今年の釜山国際映画祭はどうだったのだろうか。入場者数は19万2991人と、去年に比べると17%アップし客足も少しづつ戻ってきたようにうかがえる。
有村架純から故・鈴木清順まで、日本の映画人が受賞
今年の上映作品の特徴として日本映画の選出率の高さが注目された。総上映作品は、75カ国から298本が上映され、そのうち日本映画が過去最多の41本。さらに、コンペティションとして注目される「ガラプレゼンテーション」招待作5作品のうち3作品(日韓合作も含む)が日本映画という異例な状況。そして、アジアを代表する映画祭を謳う理由であり、映画祭のメインセクションである「アジア映画の窓」では、56作品のうち14作を日本映画が占めた。
様々な賞がたくさんあるのも釜山国際映画祭の特徴の一つだが、今年は日本映画の受賞も注目された。キム・ジソク賞「羊の木」、ドキュメンタリー部門「ニッポン国VS泉南石綿村」、ワイドアングル「A Free Man(日独合作)」。さらに、「メアリと魔女の花」で声優を務めた杉咲花がフェイス・オブ・アジア賞に。そして、アジアで活躍するスターを表彰するアジアスターアワード賞を有村架純。アジア映画監督賞は故・鈴木清順監督が受賞するなど、多くの日本作品と日本の映画人の受賞が目立った。