最新記事

米軍事

トランプ政権、米国製軍用ドローン輸出増狙う 国際的な規制緩和へ

2017年10月16日(月)18時00分

こうした動きは、米産業を押し上げるためにトランプ大統領が推進する「バイ・アメリカン」戦略の一環であるだけでなく、同盟国に対する影響力を行使する方法として米政権が考えている武器販売を容易にしようとする意向を反映するものだと、前出の米高官は言う。

新規制の草案によれば、機密リストに記載された2桁の国々はより迅速な軍用ドローン購入を許される、ともう1人の米高官は明かした。業界筋によると、そのなかには、米国に最も近い北大西洋条約機構(NATO)加盟国の一部や、「ファイブ・アイズ」と呼ばれる情報ネットワークを米国と共に構成する英国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドが含まれている。

米国の輸出規制が寛容になり過ぎれば、人権意識の低い国に「自国民を標的」にするさらなる手段を与えかねないと、米研究機関「スティムソン・センター」のレイチェル・ストール氏は指摘する。

オバマ前米大統領は2015年、軍用ドローン輸出政策を見直したが、主要ライバルである中国やイスラエルと比べ、それでもまだ厳し過ぎるとメーカーから不満が上がった。

米国のドローンメーカーは、世界の軍用ドローン市場でのシェア拡大を狙っている。規則変更を考慮せずとも、米メーカーの売り上げは2016年の28億ドル(約3140億円)から2025年には94億ドル(約1兆円)に増加すると、調査会社ティール・グループは予想している。

軍用ドローン製造の最大手ゼネラル・アトミックスのリンデン・ブルー最高経営責任者(CEO)が最近、ロビー活動のためにホワイトハウスを訪れたと、事情に詳しい人物は明かした。

新規則では、軍用ドローン販売の大半で長いあいだ障壁となってきた「推定却下」を正式に再解釈することになるとみられる。そうなれば、より容易かつ迅速に承認を得られるようになる。

米国製の武装ドローン購入を許されていたのは英国のみだったが、最近これにイタリアが加わった。

20億ドル規模のゼネラル・アトミックス製偵察ドローン「ガーディアン」をインドに売却する計画は、今年6月ようやく米国の認可が下りた。だが、武装ドローンの購入を巡るインドの要請は滞っている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中