トランプ政権、米国製軍用ドローン輸出増狙う 国際的な規制緩和へ
こうした動きは、米産業を押し上げるためにトランプ大統領が推進する「バイ・アメリカン」戦略の一環であるだけでなく、同盟国に対する影響力を行使する方法として米政権が考えている武器販売を容易にしようとする意向を反映するものだと、前出の米高官は言う。
新規制の草案によれば、機密リストに記載された2桁の国々はより迅速な軍用ドローン購入を許される、ともう1人の米高官は明かした。業界筋によると、そのなかには、米国に最も近い北大西洋条約機構(NATO)加盟国の一部や、「ファイブ・アイズ」と呼ばれる情報ネットワークを米国と共に構成する英国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドが含まれている。
米国の輸出規制が寛容になり過ぎれば、人権意識の低い国に「自国民を標的」にするさらなる手段を与えかねないと、米研究機関「スティムソン・センター」のレイチェル・ストール氏は指摘する。
オバマ前米大統領は2015年、軍用ドローン輸出政策を見直したが、主要ライバルである中国やイスラエルと比べ、それでもまだ厳し過ぎるとメーカーから不満が上がった。
米国のドローンメーカーは、世界の軍用ドローン市場でのシェア拡大を狙っている。規則変更を考慮せずとも、米メーカーの売り上げは2016年の28億ドル(約3140億円)から2025年には94億ドル(約1兆円)に増加すると、調査会社ティール・グループは予想している。
軍用ドローン製造の最大手ゼネラル・アトミックスのリンデン・ブルー最高経営責任者(CEO)が最近、ロビー活動のためにホワイトハウスを訪れたと、事情に詳しい人物は明かした。
新規則では、軍用ドローン販売の大半で長いあいだ障壁となってきた「推定却下」を正式に再解釈することになるとみられる。そうなれば、より容易かつ迅速に承認を得られるようになる。
米国製の武装ドローン購入を許されていたのは英国のみだったが、最近これにイタリアが加わった。
20億ドル規模のゼネラル・アトミックス製偵察ドローン「ガーディアン」をインドに売却する計画は、今年6月ようやく米国の認可が下りた。だが、武装ドローンの購入を巡るインドの要請は滞っている。