トランプ政権、米国製軍用ドローン輸出増狙う 国際的な規制緩和へ
最も強力な米国製ドローン販売の拡大を阻む大きなハードルは、ミサイル売却などを規制するため、米国のほか34カ国が署名し1987年に発足した協定「ミサイル技術管理レジーム(MTCR)」だ。
同協定は、航続距離300キロ以上、最大積載量500キロ超のドローンを巡航ミサイルに分類しており、極めて厳格な輸出入規制を義務付けている。したがって、米国製品の輸出規制を緩和することに国際的な承認を得るためには、MTCRの再交渉が不可欠となる。
ある米当局者と業界筋によれば、アイルランドの首都ダブリンで来週開催されるMTCRの年次総会に出席する米国務省当局者は、MTCR発足当時には存在しなかったドローン販売について、ミサイル技術よりも寛大に扱うことを提案する「ディスカッションペーパー」を発表する予定だという。
合意が得られるという保証は全くない。NATO加盟国と国境を接するロシアはそのような変更に抵抗する可能性があると、この米当局者は語った。
中国とイスラエル
MTCRに参加していない中国は、イラクやサウジアラビア、ナイジェリアといった米国と近い関係にある一部の国々に向けドローン販売を推進しようとしているが、米国の規制網に阻まれている。
中国製ドローン「彩虹3号」や「彩虹4号」は米国のリーパーと比較されるが、もっと安価だ。中国は自国製ドローンをほぼ無条件で売っていると、複数の米当局者は言う。
中国外務省は、軍用ドローンの輸出に関して「慎重かつ責任ある態度」で臨んでいると主張している。
一方、MTCRに参加してはいないものの、順守するとしているイスラエルは、その技術力の高さから、米国メーカーの競合相手となっている。しかし、不安定な状況にある中東の近隣諸国には販売しないとしている。イスラエル国防省のデータによると、同国は2016年に5億2500万ドル規模のドローンを輸出した。
米ドローンメーカーや政権内部の擁護派は、他国がドローンの販売拡大に向けて急速に動くなか、後れを取るべきではないと主張している。
(翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)
[ワシントン 11日 ロイター]
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