トランプ大統領、次期FRB議長に選ぶのはイエレン、それとも?
●ウォーシュ元FRB理事(47歳)
経歴:2006年から11年までFRB理事。02年から06年までジョージ・W・ブッシュ政権の経済顧問、モルガン・スタンレーで7年間にわたり企業合併・買収(M&A)弁護士。
学歴:スタンフォード大で公共政策学士号。ハーバード大法学士。
政策姿勢:FRBは裁量権が大きすぎると主張し、FRBが経済を微調整すべきではないとの立場。1─2%の物価上昇率を目指すべきだと考えており、実質的な物価目標の引き下げを求めている。
候補者としての強み: ウォール街で知名度が高い。
妻のジェーン・ローダー・ウォーシュさんは化粧品界の大物ロン・ローダー氏の娘で、トランプ氏の旧友。
弱み:「低金利人間」を自称するトランプ氏からすると、タカ派過ぎる可能性がある。
米国の金融政策を刷新する必要性を唱え続けているが、イエレン議長やバーナンキ前議長のような経済学者ではない。
世界金融危機が起こった2008年に至ってもインフレに懸念を示した上、量的緩和(QE)第2弾を巡ってFRBを辞めた経緯が失点とみなされるかもしれない。
こうした経緯にもかかわらず、連邦公開市場委員会(FOMC)で反対票を投じたことは1度もなかった。
●イエレンFRB議長(71歳)
経歴:サンフランシスコ地区連銀総裁を務めた後、2010年から14年はFRB副議長。
学歴:イエール大で経済学博士号。
政策姿勢:FRB議長として、経済指標に応じた段階的な利上げを進め、緩やかなバランスシートの縮小を決めた。経済危機後の金融規制は、経済成長を犠牲にすることなく経済の安定性を高めたと主張。
候補者としての強み:FRBでの実績によって市場の信任を勝ち得、大きな混乱を招くことなく政策変更を行う手腕を示した。
米経済は成長、低失業率、株価上昇と好環境にあり、続投支持の根拠となり得る。トランプ大統領もイエレン氏が良い仕事をしていると公言した。
弱み:オバマ前大統領の置き土産というイメージを持たれかねない。
金融危機後の主要な規制を温存すべきとの考えであり、トランプ政権の規制緩和路線と摩擦を起こす可能性がある。
共和党指導部の中には、金融政策におけるFRBの裁量権を減らすべきとの考えがあるが、イエレン氏は抵抗している。