受験地獄は過去の遺物、今や合格率93%の「大学全入時代」
かつては大学志願者のうち不合格者が約45%も出た時代があったが inarik/iStcok.
<18歳人口の減少で日本は大学合格率が93.3%の「大学全入時代」。予備校に続いて淘汰が進む大学では、今後役割の転換が求められる>
「四当五落」という言葉がある。4時間しか寝ない受験生は試験に受かるが、5時間寝る者は試験に落ちるという格言だ。大学受験の時、これを合言葉に勉学に励んだ人も多いだろう。
受験地獄とはよく言ったものだが、大学受験に関係して悲惨な事件も過去に起きている。1980年11月29日、20歳の男子予備校生が金属バットで両親を殴り殺す事件が起きた。浪人生活2年目の加害者が、金銭の使い込みや飲酒をとがめられて逆上したのだ。
この加害者は犯行時、浪人生活2年目だったので、79年(現役時)と80年(1浪目)の受験に失敗していることになる。統計によると、79年春の大学入学志願者は約64万人で、大学入学者は41万人ほどだから、差し引き23万人が不合格だったことになる。不合格率は36%で、この事件の加害者もその1人だった。
これは40年近く前の話だが、今の状況はかなり変化している。大学入学志願者と入学者の統計をつなぎ合わせて、大学受験の激しさの変化が分かる図を作ってみた<図1>。合格者は入学者を指し、不合格者は志願者と入学者の差分に当たる。
赤色の不合格率が,競争の激しさの尺度になる。このカーブをみると,60年代後半と80年代末~90年代初頭が激戦だったようだ(4割超)。量的に多い団塊世代と団塊ジュニア世才が受験期(18歳)に達した頃だ。90年の受験では、志願者の44.5%が不合格になっている。
90年代以降は少子化により入学志願者の絶対数が減少し、競争が緩和されてくる。不合格率は急降下し、2015年には6.7%にまで下がっている。裏返すと合格率は93.3%、大学全入時代が到来しつつある。