北朝鮮、4000人が働く世界最大級の美術工房 「アート」で外貨獲得へ
国連安全保障理事会は、2016年に同社の像制作ビジネスを禁止した。北朝鮮がさらなるミサイル実験を重ねた8月には、万寿台創作社をブラックリストに載せ、世界的な資産凍結と渡航禁止の対象とした。万寿台創作社の事業を停止させる内容だった。
「これで、絵画や他のアート作品、モニュメント、建築物など、万寿台創作社が作るものは全て資産凍結の対象となり、購入できなくなった」と、国連外交筋は語った。
国連安保理はさらに、9月11日の追加決議で、全ての北朝鮮の企業や個人が関わる合弁事業を1月半ばまでに停止することを決めた。
それが、現存する万寿台創作社制作のアート作品にどう影響するのかは不明だ。
北京の画廊が多く立ち並ぶ地区に「万寿台画廊」があり、万寿台創作社の公式在外ギャラリーを自称している。画廊の責任者Ji Zhengtai氏は、画廊は制裁対象ではなく、ビジネスに影響はないと話す。
「今のような時こそ、北朝鮮と世界の相互理解を育てるため、芸術のような手段が必要だ」と、Ji氏は言う。
万寿台創作社の取引規模を把握するのは不可能だが、国連外交筋は、世界で数百万ドルに上っていたと推測する。
政治は関係ない
万寿台創作社の「海外公式サイト」を名乗るイタリアのサイト mansudaeartsudio.comは、万寿台創作社について「恐らく世界最大のアート制作センター」だと説明している。
万寿台創作社の平壌スタジオの敷地面積は、12万平方メートルあり、アーティスト1000人を含む約4000人を雇用している。また、13の創作グループに分かれており、7つの制作工場、50以上のサプライ部門を抱えている、と同サイトは説明する。
このサイトを運営しているのはPier Luigi Cecioni氏で、万寿台創作社と単独契約を結び、作品をオンラインで販売しているという。同氏は、売り上げ規模は明らかにしなかったが、万寿台創作社の制裁対象入りが発表された8月、売り上げは万寿台創作社に直接渡されていると、ロイターに明かした。
同氏は、制裁発表の数年前に購入した自分のコレクションから作品を販売していると説明する。また、同氏のサイトでは、オンラインで作品を購入する場合の売買契約は同氏のイタリアの会社との間で交わされ、万寿台創作社とではないと説明していた。国連制裁は、発効より前に遡って適用されない。