欧州が恐れる「融和のメルケル時代」終わりの始まり
大きなリスク
こうした懸念は恐らく杞憂だろう。メルケル首相は生き残り術に長けており、異なる陣営間の調停をする際に、最も力を発揮する。CSU、緑の党、FDPなど、まったく異質な政党に協力し合うことを納得させたいと思うなら、今後数カ月はそうした調停を行う必要がある。
かたくななFDPの主張を思えば、ユーロ圏改革に向けたマクロン大統領との合意はこれまでよりも困難になるが、それ以外の欧州防衛協力などの優先課題は、SPDが連立政権から抜けることで、かえって楽になる可能性がある。
欧州委員会の上級幹部は、数カ月にわたるドイツの連立協議によって、実際にはマクロン大統領のアイデアが勢いを増すための時間の余裕が生まれるかもしれないと語る。
だが、連立協議にはリスクも伴う。
12年間政権の座にあるメルケル首相は、連立パートナーの勢力を弱めるという評判が立っている。今回の選挙で犠牲になったのがCSUとSPDだ。4年前はFDPだった。少数与党としてメルケル首相の連立内閣に参加した後、FDPは戦後初めて連邦議会の議席をすべて失ってしまった。
こうした過去があるため、連立候補となる政党はどこも高めの要求を突きつけてくるだろう。
「安定多数政権を形成することに失敗したら、恐らくそれがメルケル時代の終わりを告げることになるだろう。そして、さらに広く見れば、新たな政治的混沌の前触れとなる可能性がある」。ドイツで外相経験のあるヨシュカ・フィッシャー氏は26日、プロジェクト・シンジケート向けの寄稿でそう記した。
「ドイツに、あるいは欧州に、そうした混沌を望む人は誰もいない」
(翻訳:エァクレーレン)
[ベルリン 9月26日 ロイター]
