絶対的に不平等な「税金逃れ」と「税金取り立て」の実態
あなたが払う税金は、法律(制度)によって決まっている。
ところが、税に関する制度は複雑で、成立過程に不透明な部分も多い。国民から見えにくいところで政治的に決まっていたり、声の大きな勢力が有利な扱いを受けていたりすることがある。(146ページより)
冒頭でも触れたように、団塊世代が75歳を過ぎる2025年には、状況は現在以上に厳しくなる。しかし私たちが払っている税金や保険料が、適切に使われてきたのか、あるいはこれから適切に使われていくのか、その点に関する疑念は拭えない。当然ながら、将来への展望が持てない若者の不安はより大きくなるだろう。
では、どうすればいいのだろう? それを解明すべく、本書でも滞納者救済の取り組みなどにページを割いている。しかし残念ながら、「こうすればいい」というような明確な答えに行き着くことはない。だがそれは本書の執筆者の責任では当然なく、それほど事態が深刻化しているということにほかならない。
だとすれば私たちは、本書で示されたさまざまなことの「その先」について、より真剣に考えていかなくてはならないだろう。
[筆者]
印南敦史
1962年生まれ。東京都出身。作家、書評家。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。現在は他に、「ライフハッカー[日本版]」「WANI BOOKOUT」などで連載を持つほか、「ダヴィンチ」「THE 21」などにも寄稿。新刊『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)をはじめ、『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(ダイヤモンド社)など著作多数。
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