ほころび始めた中朝関係 北朝鮮は中国に恥かかす機会うかがう?
中朝関係が常に疑念と不信感で曇りがちな一方、中国は北朝鮮による挑発行動をまだましなものとして渋々大目に見てきた。中国にとって最悪なのは、北朝鮮が崩壊して国境から中国に難民がなだれ込み、朝鮮半島が米国の支援する韓国政府の支配下に置かれることだ。
それこそ、今回米国が提案したエネルギー禁輸といった極端な措置は北朝鮮の崩壊を招きかねないと中国が懸念し、相当な経済的影響力を行使するのに消極的な理由でもある。
代わりに、中国は冷静かつ抑制された、交渉による解決を繰り返し呼びかけている。
北朝鮮政府は、電子メールやファクス、電話でコメントを求める外国メディアが接触できる窓口を平壌に設けていない。北京にある北朝鮮大使館からも、コメントを直ちに得られなかった。
中国外務省も、ファクスによるコメント要請に対し回答しなかった。同省は「中国責任論」に対し繰り返し反発しており、緊張を解決するには当事国(北朝鮮、韓国、米国)が鍵を握っていると主張している。
封建時代
2011年に死去するまで、北朝鮮の金正日総書記は、後継者として自身が選んだ息子を確実に支援するよう、中国に何度も懇願していた。
当時の中国の胡主席がそれに報いようとするなか、20代後半だった正恩氏は、最も強力な同盟国と距離を置き始める。
「この若き指導者は知名度も低く、まだその真価も証明されてはいない。北朝鮮内には数多くの政治問題があり、彼は特に、中国の息のかかっていないことを証明しなければならなかった」
こう語るのは、韓国ソウルにある延世大学校のジョン・デラリー氏だ。「正恩氏は、胡錦濤氏、そして(現中国国家主席の)習近平氏を全く寄せ付けないようにしようと最初に決めたのだと思う」
政権の座に就いてから数カ月のうちに、正恩氏は、核保有国であることを宣言するため、憲法を修正することによって北朝鮮の意思を知らしめた。2013年に叔父を処刑したことで、この若き指導者に対する中国の不信感は決定的となった。
「中国が快く思わないのは当たり前だ」と、北京に駐在し北朝鮮を担当する外国の外交官は言う。「叔父を処刑するなんて、まるで封建時代だ」