最新記事

北朝鮮

国連安保理、北朝鮮へ原油輸出制限など制裁決議 米国「戦争望まない」

2017年9月12日(火)17時50分

9月11日、国連安全保障理事会は、6回目の核実験を強行した北朝鮮に対する追加制裁決議案を全会一致で採択した。写真は中国の劉結一国連大使。国連本部で撮影(2017年 ロイター/Stephanie Keith)

国連安全保障理事会は11日、6回目の核実験を強行した北朝鮮に対する追加制裁決議案を全会一致で採択した。北朝鮮による繊維輸出の禁止や北朝鮮への原油輸出制限などを盛り込んだ。

米国は当初、北朝鮮への原油・石油製品の全面禁輸のほか、金正恩朝鮮労働党委員長に対する資産凍結と渡航禁止を含むより厳しい決議案をまとめていたが、中国とロシアの支持を得るため原案よりも内容を緩めた。

この日採択された決議では、北朝鮮への原油と石油精製品の輸出を制限し、原油は現行輸出量を上限に、石油精製品は年間200万バレルを上限とした。また、北朝鮮へのコンデンセートと天然ガス液の輸出を禁止した。原油の大半は中国が供給している。

安保理の協議に詳しい米当局者によると、北朝鮮は年間約400万バレルの原油と約450万バレルの石油精製品を輸入している。

決議は北朝鮮による繊維製品の輸出も禁止。大韓貿易投資振興公社によると、北朝鮮の昨年の繊維輸出額は7億5200万ドルで、石炭などの資源輸出に次いで2番目に大きい。そのうち8割近くが中国向けだった。

決議はまた、国連加盟国に対し、公海上の貨物船が禁輸対象の貨物を輸送していると疑う正当な根拠がある場合に、船舶が所属している国の同意を得て検査するよう求めた。

北朝鮮の弾道ミサイル・核開発に対して国連安保理が制裁決議案を全会一致で採択するのは、2006年以降9回目となった。

米国のヘイリー国連大使は採択後、「われわれは制裁強化を喜んでいるわけではない。戦争も望まない」と強調。北朝鮮は「後戻りできない点をまだ越えていない」との認識を示した。

「北朝鮮は核開発の停止に同意すれば未来を取り戻すことができる」と述べた。

ロシアのネベンジャ国連大使は、「核実験への断固たる対応を見送ることは誤り」であるため決議案に賛成したと説明。

そのうえで、北朝鮮との対話再開には北朝鮮の核・弾道ミサイル実験と米韓合同軍事演習を同時に停止する必要があるとの従来の中国・ロシアの主張を繰り返し、「ロシアと中国のイニシアティブを過小評価するのは大きな誤り」と述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 10
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中