北朝鮮対応、冷静さを保ったものに トランプ政権内の変化示す
マティス氏が優勢か
マティス国防長官は、ケリー大統領首席補佐官やマクマスター大統領補佐官(国家安全保障問題)、ティラーソン国務長官よりも、トランプ大統領と近い関係にあり、軍事的選択肢やそれらが生む危険な派生事項について、大統領に説明する主導的役割を担っていたと、2人目の米当局筋は指摘する。
「ミーティング後にマティス氏がメディアに対応したのは偶然ではない」とこの当局筋は語る。
1月の就任以来、トランプ大統領は複数回、北朝鮮に関するブリーフィングを受けたが、軍事行動はあまりに犠牲が大きいため最終手段であるべきだという考えに異を唱えた、と両米当局筋は口をそろえる。
多くの軍事的シナリオは、北朝鮮を攻撃すれば、韓国と同首都ソウルに対するミサイルや迫撃砲による大規模な報復攻撃をもたらし、多大な犠牲者を生む結果になると予想している。
差し当たり、ホワイトハウスで浮上している戦略には、危機解決のため介入するよう中国への経済的圧力を高めることが含まれていると、当局者は言う。一方、中国政府は、北朝鮮に対して十分な影響力はないとしている。
ムニューシン財務長官はそのような取り組みを示唆している。同氏は3日、「フォックス・ニュース・サンデー」に対し、「彼ら(北朝鮮)と取引あるいはビジネスをしたいと考える誰に対しても、われわれは取引あるいはビジネスを停止する」制裁案を作成中だと語った。
中国は、北朝鮮にとって最大の貿易相手国である。米国が最近追加した制裁では、中国金融機関の一部が対象とされたが、対象拡大が検討されているとトランプ政権当局者は言う。
トランプ大統領がそれを現実のものとするかは全く明らかではない。大統領は中国からの鉄鋼製品に対する関税を強化しようとしているが、そうした措置は通商戦争を引き起こしかねないと側近らに説得されている。
(John Walcott記者、Steve Holland記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)