ビンラディンの「AVコレクション」が騒がれる理由
2011年にこのニュースが大きく騒がれた際、スレート誌のジャーナリスト、ウィリアム・サレタンが世論調査を元に指摘したことだが、ビンラディンに共鳴する人や信奉者は、民間人に対する自爆テロよりも「ポルノや姦通、男女平等」により嫌悪感を示す傾向にある。
こうした人々にとっては、欧米社会がビンラディンを「テロリスト」と批判したところで説得力を持たない。それよりも、彼を「豪邸に住み、自身のビデオ映りをよくするために髭を染め、米軍に撃たれそうになったら女性の後ろに隠れた、ポルノ愛好家だ」と描写するほうがよっぽど効果的だ、とサレタンは書いた。
一方でサレタンは、「3人の妻と一緒に暮らす54歳の狂信者というのは、隠れ家の中でポルノを最も観そうにない人物だ。このストーリーは論理的に破綻している。しかし政治的には、完璧なのだ」とも付け加えた(ビンラディンは3人の妻や子供たち、複数の側近と暮らしていた)。
今回、CIA はポルノを開示しない決定をしたが、あと数週間もすればそれ以上に貴重な情報が表に出ることになるだろう。2012年に、隠れ家から押収した文書の一部が「アボタバード文書」として公開された際には、「一部のグループがイスラムの教理を曲解し、一般のイスラム教徒の殺害を正当化していることを(ビンラディンが)厳しく叱責」していたことなどが明らかになった。
本来ならば、こうした情報こそより注目されるべきだし、テロ撲滅に少しは役立つものがあるかもしれない。もっとも、アルカイダやビンラディンのシンパにとっては、アメリカが公開するものはポルノであれ「ビンラディンの教え」であれ、すべてが「フェイク」にしか映らないだろうが。
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