世界の石油市場支配を固める中国 ライバルは戦々恐々
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8月4日、中国は今年、このペースでいくと、米国を抜いて世界最大の石油輸入国となる。アジアの燃料取引において支配を強めており、地域で最も重要な市場参加者としての地位を強固なものとしている。写真は、広東省にある中国海洋石油の精製所。2009年7月撮影(2017年 ロイター/Tyrone Siu)
中国は今年、このペースでいくと、米国を抜いて世界最大の石油輸入国となる。アジアの燃料取引において支配を強めており、地域で最も重要な市場参加者としての地位を強固なものとしている。
政府統計によると、中国は今年上半期に初めて、米国よりも多くの原油を輸入した。中国の輸入量が平均855万バレル/日(bpd)であるのに対し、米国のそれは812万bpdだった。この傾向は、今後も続くと予想されている。
こうした変化は、世界の石油市場の中心が西洋から東洋に移ったことを示している。中国国営の中国石油化工(シノペック)<0386.HK>の商社部門ユニペックは今や、世界最大の石油貿易会社となった。石油輸入量を増やす中国は現在、米国に次いで世界第2位の石油消費国となっており、とりわけ上海の原油先物市場が成長するにつれ、同国は原油の世界価格の決定において、極めて重要な役割を果たすことになるだろう。
中国による石油輸入量急増の背景には精製企業の能力拡大がある。だが、その供給を吸い上げるほど国内需要は伸びておらず、ガソリンと軽油の輸出量は記録的水準にまで増加している。中国から輸出される大量の製品は、アジア諸国のライバル企業にとっては頭痛の種となっており、軽油の利益率は2016年、数年ぶりの低水準に落ち込んだ。
「中国は、東南アジアと豪州でのシェア獲得において、台湾や韓国、シンガポールといった従来の輸出拠点に対し、多くのプレッシャーを与えている」と、コンサルタント会社ウッド・マッケンジーのシニア・リサーチアナリストのジョー・ウィリス氏は指摘した。
石油精製能力の拡大と輸出増加の傾向は今後も続く見通しだ。
シノペックが最近行った説明会によると、中国は2020年までに精製能力を少なくとも250万bpd増やす計画だという。