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「まぶた失い眠れない」 イギリスで急増する硫酸襲撃の恐怖

2017年8月7日(月)17時35分


<身近な製品が凶器に>

酸性物質は、店頭でお金さえ支払えばだれでも簡単に購入できる排水溝やトイレの洗剤といった日用品にも含まれている。

ある調査によると、複数のウェブサイトで96%が硫酸でできた製品を販売しているという。硫酸はクリストフェロスさんの襲撃にも使われた物質だ。1リットルあたり15ポンド(約2200円)もしない。

「1リットルあれば10人かそれ以上の人生を破滅させることができる。そして誰でも買える」と、クリストフェロスさんは指摘する。

被害者の整形手術を務めたことがある医師によると、腐食性物質による傷は回復までに何年もかかり、数えきれないほどの手術を必要とするという。

治療が終わっても、被害者の人生には大きな傷跡が残る。

「外見の変形など一生回復できない傷となることもある」と語るのは、英国整形・再建・審美外科医協会の広報担当者であるピーター・ジェウルスキ教授。同教授は今年だけで20人の患者の治療にあたった。

事件後、クリストフェロスさんはけがのため、地元の起業家としての仕事を大幅に減らさざるを得なかったという。「酸攻撃の影響は、一生抱えていかなければならない」

(Cassandra Garrison記者 翻訳:新倉由久 編集:山口香子)

[トゥルーロ(英国) 3日 ロイター]


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