政権運営能力欠如したトランプ 共和党の我慢もレッドライン越えか
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7月28日、トランプ米政権の発足から半年、政策以外の部分で次々と騒ぎを引き起こし、政権運営能力を欠く大統領に対し、共和党議員の不満はさらに高まっている。写真は、米メリーランド州の米軍基地でプリーバス首席補佐官の更迭について記者団と話すトランプ氏。(2017年 ロイター/Jonathan Ernst)
トランプ米政権の発足から半年、政策以外の部分で次々と騒ぎを引き起こし、政権運営能力を欠く大統領に対し、共和党議員の不満はさらに高まっている。
議会上院で共和党議員らが医療保険制度改革(オバマケア)の改廃に奮闘する中、トランプ氏は心と体の性が異なるトランスジェンダーを米軍に受け入れないとツイッターに投稿し、「ボーイスカウト米国連盟」の全国大会で政治的発言をして不興を買い、新たに起用したスカラムチ広報部長の問題発言を看過した。
挙句の果て、オバマケアの一部を廃止する法案は28日に上院で否決され、議員らの努力は水泡に帰した。
共和党ストラテジストのアリス・スチュワート氏は「一連の騒ぎが(共和党議員による)法案成立を阻害しているのは明らかだ」と語る。
トランプ大統領は28日、スカラムチ氏と対立していたプリーバス首席補佐官を更迭し、後任にケリー国土安全保障長官を起用した。
トランプ氏に対し、堪忍袋の緒が切れそうな共和党主流派もいるようだ。
トランプ政権の中でも安全保障チームは「まともさ」を保つ砦とみられているが、このチームでも不満は高まっている。複数の関係筋によると、国家安全保障問題担当のマクマスター大統領補佐官とティラーソン国務長官は、ホワイトハウスからの扱いを不快に感じている。
トランプ氏が突然トランスジェンダーの受け入れ禁止を宣言したことで、マティス国防長官は対応に追われている。国防総省は、さらに説明を受けなければ命令を執行できないと表明した。
また米大統領選干渉疑惑「ロシアゲート」の調査を巡っては、トランプ氏がセッションズ司法長官を公然と批判したり、側近同士が言い争ったり、モラー特別検察官を攻撃したりと混乱が巻き起こった。
共和党の別のストラテジスト、チャーリー・ブラック氏は、大統領は政策に言及してしばらくそれに専念すべきだと提言し、「場外乱闘」を厳に慎むよう求めている。