北朝鮮、カナダ人は解放してもアメリカ人は議論の余地なし
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8月15日、北朝鮮国営の朝鮮中央通信社(KCNA)は、外務省報道官の話として、現状の米国との関係を考慮すれば、拘束している米国市民について協議するのに今は適切な時期ではないと伝えた。写真は北朝鮮国旗。韓国・板門店から2012年3月撮影(2017年 ロイター/Yuriko Nakao)
<北朝鮮が拘留していたカナダ人牧師を解放したことで、同様に拘留されているアメリカ人解放について期待する声が出ていたが、北朝鮮外務省は議論する余地がないと一蹴した。一方で、9日に解放されたカナダ人牧師は北朝鮮での苛酷な2年半の拘留生活の様子を明かした>
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長がグアム攻撃の計画を検討すると発表して以来、これを重大な挑発と見なすアメリカのトランプ大統領との間で非難の応酬が続き、緊迫がエスカレートしている北朝鮮情勢。
だが一方では、北朝鮮に拘留されていたカナダ人牧師が9日人道的見地から解放されたことで、北朝鮮が何らかの対話の道を模索しているのではないかと見る向きもあった。また、北朝鮮のパク・ソンイル国連駐在次席大使とアメリカ国務省のジョセフ・ユン北朝鮮政策特別代表が5月以降、定期的に接触をしてきたとAP通信が報道。北朝鮮に拘留されている3人のアメリカ人の解放についても、何らかの進展があるのではと期待の声が出ていた。
だが、北朝鮮の反応は冷淡だった。ロイターなどによると、北朝鮮の朝鮮中央通信が北朝鮮外務省に問い合わせたところ、スポークスマンは15日「今の両国関係を考慮すれば拘留アメリカ市民について、協議するのに今は適切な時期ではない」と一蹴したという。
朝鮮中央通信によるこの報道は、グアム攻撃を予告した北朝鮮が、拘留アメリカ人の解放を糸口としてアメリカとの対話の扉を開くのではないかという期待を払拭させようという狙いがあるとみられる。