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北朝鮮問題

北朝鮮電撃訪問以外にない----北の脅威から人類を守るために

2017年7月31日(月)16時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

したがって、3枚のカードは持っていても、カードを切れないのである。

金正恩の悲願――最大の敵は朝鮮戦争の交戦国であるアメリカ

いま金正恩が核・ミサイルで脅しているのはアメリカである。

なぜなら朝鮮戦争の時の交戦国はアメリカをトップとした連合国で、韓国はその中の一国に過ぎない。休戦協定で署名をした相手は、連合国を代表するアメリカだった。

そのアメリカに振り向かせたい。

こちらを振り向いて、北朝鮮の存在を認めろというのが願望だ。

具体的には休戦協定の最終目的である「平和協定」を結べと主張してきた。

しかし、そう言いながら核・ミサイル開発をやめなかったので、「やめるまで、会わない」とアメリカは主張。しかし「やめるまで」という「国連の制裁」は、効力がなかったことを、歴史は証明している。

これ以上、制裁を強化しても、その間に北は核・ミサイル技術の進歩を加速度的に遂げていくだけだ。

休戦協定に違反したアメリカが最終責任を

これまで何度も考察してきたように、1953年7月27日に結ばれた休戦協定には、休戦協定署名後の3ヵ月以内に、すべての他国の軍隊は朝鮮半島から引き揚げることとなっている。中国は1958年までにすべて引き揚げた。しかしアメリカはこんにちに至るまで引き揚げていない。

日本人は感覚がマヒしてしまって、在韓米軍がいるのは、まるで「自然の理」であるかのごとく錯覚しているが、これは明らかな休戦協定違反なのである。

この事実に目を向けることは、まるで北朝鮮や中国の味方をしているような無言の圧力があり、「そんな事実はなかったもの」としなければならないような日本の世論の見えない圧力があるが、事実に目を向ける以外に、われわれ日本人を北の脅威から守る道はない。

トランプは北朝鮮を電撃訪問すべし!

トランプが、習近平の褒め殺しをやめて「今後は容赦しない」と言ったところで、せいぜい北朝鮮と取引している中国企業や個人を制裁する程度で、こんなことでは北朝鮮はビクともしない。なにせ世界160ヶ国以上と国交を結んでいるし、統計に出て来ない「フロント企業」という闇企業で取引しているからだ。中朝貿易などは、「正当な統計」に出ているだけで、そんなものは闇取引の数値と比べれば、ほんの誤差範囲でしかない。

かといって、アメリカには戦争に踏み切る勇気はないだろう。あまりに犠牲が大きいからだ。

となれば、いまアメリカにできる唯一の方法は「トランプと金正恩が会うこと」だけである。

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