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カタール危機でアジアが巻き添えに

2017年7月22日(土)17時00分
ジョゼフ・ハモンド(ジャーナリスト)

今回の危機は、長年カタールに労働力を供給してきたアジア各国にとっても頭が痛い問題だ。カタールや周辺のアラブ諸国は、南アジアの労働者にとって格好の出稼ぎ先。湾岸諸国の外国人労働者のうち、最も大きな割合を占めるのが南アジア出身者だ。

労働市場への影響は既に表れている。フィリピンはカタールへの出稼ぎ労働者の派遣を一時的に停止。ベトナムも同様の措置を取ったと報道されている。

カタール側は主要産業で働く外国人労働者の流出阻止に懸命だ。経済封鎖は建設業にも大きな打撃を与える。同国は22年にサッカーワールドカップの開催を控えるが、スタジアム建設などには遅れが出るだろう。

【参考記事】岐路に立つカタールの「二股外交」

今のところ、カタール危機が戦争に発展する可能性は低い。バーレーンやUAE、サウジアラビアは14年にもカタールからの大使召還に踏み切った。これらの国は、カタールはいずれ経済封鎖や外交的圧力に屈するとみている。危機解消を目指して、カタールはこれまでにムスリム同胞団の複数の指導者を国外追放することに同意した。

サウジアラビアをはじめとするアラブ4カ国は6月下旬、カタールに対して、関係改善に向けた13項目の要求を提示。それにはムスリム同胞団などとの関係断絶、カタールの衛星放送局アルジャジーラの閉鎖、財政監査の実施などが含まれていた。

カタールにしてみればとてものめない要求で、7月初めには拒否を表明。4カ国のさらなる対応が待たれる。

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From thediplomat.com

[2017年7月25日号掲載]

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