米国務省の人身売買リポートで浮上した「ロシアのアトランティス」
国務省報告書の問題について、モスクワ・タイムズ紙をはじめとするロシアのメディアは、モスクワ南西部の郊外に実在するドメスティック・バイオレンス(DV)被害者向け保護施設「キーテジ」の名前を、国務省が村や街の地名と取り違えた可能性が高いと指摘している。この保護施設は、これまでも何度か良質な施設として報道されてきた。例えば、2016年のペンシルベニア州立大学プレジデンシャル・リーダーシップ・アカデミーの報告書はキーテジを「女性たちにとってはかり知れない価値を持つ施設」と評価している。
ティラーソン国務長官は、報告書が発表された6月の時点で、報告書の内容に加え、特に北朝鮮からの労働者を強制的に徴用しているとして、ロシアを名指しで非難していた。2013年以降、アメリカはロシアを、人身売買対策に関しては最悪の状況を意味するカテゴリー「レベル3」に位置づけている。これは、「政府が最低限の水準も完全には満たしておらず、さらに満たそうとする顕在的な努力を怠っている」とされるカテゴリーで、ロシアを含め23カ国がこのレベルとされている。
同じくレベル3とされた中には、中国やイラン、北朝鮮、シリアといった国々がある。一方、アメリカは自国を、トップクラスである「レベル1」と評価している。
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