比ドゥテルテ大統領、マラウィ奪回へISISと取引を用意 後に撤回
最大の危機に直面
マラウィを巡る攻防は、就任1年を迎えたドゥテルテ政権が直面する最大の危機だ。
マウテグループなどISに忠誠を誓う戦闘員が、同市の商業地区を占拠し、フィリピン軍は40日以上にわたり空爆や爆撃を仕掛け、市街地戦を繰り広げている。
戦闘員337人、治安部隊85人、そして住民44人を含む400人以上が死亡。26万人の住民が避難民となった今回の占拠で、ISが東南アジアに拠点を築こうとしているとの恐怖が地域に広がった。
マラウィのマジュール・ウスマン・ガンダムラ市長は、水面下での交渉が始まっていたことを認めたが、詳細は承知していないと述べた。
同市長はロイターに対して、プロセスが失敗したのは、ドゥテルテ大統領側が手を差し伸べた後も、武装勢力側に不誠実な態度が見られたり、政府軍に対する攻撃の手を緩めなかったためだと指摘。
「和平の機会はあった。だが誠実さがみられなかった」と、市長は語った。
<武装勢力の説得>
外見が国際武装組織アルカイダの指導者に似ていることから、地元では「ビンラディン」として知られているシャリーフ氏は、マウテグループ側と会合を設定するよう極秘指令を受けていたという大統領側近の名前を明かさなかった。
シャリーフ氏がマウテ兄弟の母親ファルハナを連れてヘリコプターで近くの町カガヤン・デ・オロまたはダバオ市に出向き、そこでドゥテルテ大統領と面会することで、この側近は合意していたという。
シャリーフ氏はまた、ドゥテルテ大統領との面会に母親を代表として出席させるよう、兄弟から要請があったと話した。
「(同側近は)必要な物を全て準備した。マウテ兄弟の母親を大統領の元に連れて行くのにヘリが必要だと私が言ったら、彼はそれを準備した。私はマウテ兄弟と母親に電話し、(面会するよう)説得した」とシャリーフ氏は語った。
ドゥテルテ大統領は、フィリピンに連邦制を導入する目標を達成できた場合には、マウテ一族の本拠地ブティグでイスラム法(シャリア)による統治を認める提案を用意していた、と同氏は言う。ロイターは、こうした提案が行われたかどうか独自に確認できなかった。