最新記事

欧州経済

イタリアの銀行、不良債権をEU水準まで軽減するのは10年必要

2017年7月18日(火)18時20分

7月17日、モルガン・スタンレーはイタリアの銀行が抱える不良債権の比率を欧州の平均水準まで抑えるには10年かかる可能性があるとの見方を示した。写真はモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナの本店入口。6月撮影(2017年 ロイター/Stefano Rellandini)

モルガン・スタンレーは17日、イタリアの銀行が抱える不良債権の比率を欧州の平均水準まで抑えるには10年かかる可能性があるとの見方を示した。「バッドバンク」とも呼ぶ、銀行から不良債権を買い取る資産管理会社の整備が助けになるかもしれないと述べた。

2014年に景気後退を脱したイタリアは、銀行が3490億ユーロ(4000億ドル)の不良債権を抱える。欧州全体の3分の1を占める額だ。司法制度の問題や緩慢な経済成長を背景に融資の回収に苦戦している。

ただ州政府による資本注入や、世界最古の銀行であるモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(モンテ・パスキ)の救済策で銀行の負担がいくぶん軽減した。

モルガン・スタンレーは「進展はあったが、ぜい弱性は残る。600億-700億ユーロの不良債権がまだあり、現在の削減ペースでは欧州の水準に下げるまでに10年近くかかるとの見通しだ」とした。

バッドバンクは、欧州中央銀行(ECB)や各国の銀行当局などの欧州連合(EU)の各機関に支持されているが、公的資金による救済を嫌がるドイツの反対に直面する。

イタリア中央銀行のビスコ総裁は12日、銀行から不良債権を買い取る資産管理組織を各国が設立するEUの提案を歓迎した上で、参加は任意であるべきだと述べた。

アイルランドとスペイン、オーストリアはユーロ圏の債務危機を経てバッドバンクを設立。金融システムは強化され経済が回復した。

[17日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 10
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中