最新記事

動物

ジャーマンシェパード2頭に1頭が安楽死 見た目重視の交配の犠牲に

2017年7月28日(金)17時55分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

行き過ぎた品種改良で明らかにおかしい

各国においてイヌの品種認定や犬種標準の指定、血統書の発行などを行うケネルクラブ。世界の支部のなかでもイギリスの「ザ・ケネルクラブ」は1873年設立の最も歴史ある団体で、世界最大のドッグショー「Crufts (クラフツ)」を運営している。

2016年のクラフツで問題になったジャーマンシェパードがこの研究の発端だった。スコットランドのブリーダー、スーザン・カスバートとともに出場した3歳の「クルアヘア・カトーリア」は、「優れた」見た目で賞を獲得したが、歩く姿は放送中止になったのだ。

【参考記事】シリアに売られるところだった子トラ3頭の悲惨な旅

cr0001.jpg

(カトーリアの背中の傾きはとても急 Youtubeより)


カトーリアの歩き方は後ろ脚が前脚の動きに追い付かないような、なんとも不自然なもので、「とても健康的な歩き方とは思えない」という声が上がったからだ。

ザ・ケネルクラブはこの「不健全な動き」が世界中に放映され、非難を浴びることを恐れ、イギリスの公共テレビ局チャンネル4に放映されるのを意図的に阻止。事態が発覚した後に、カスバートは、英デイリーメールの取材に対し犬は健康体だと訴えた。

【参考記事】日の当らないモールで見世物にされたシロクマに光明?

自然な姿のほうが優れている

カスバートの一件を受け、英国王立動物虐待防止協会(RSPCA)は、さまざまな健康問題を引き起こす可能性のある意図的に繁殖された動物の飼育を止めるために、イヌの審査制度を改革しなければならないとコメントを発表。

ザ・ケネルクラブは、自由に立つことができる、後ろ脚が地面に対し垂直など、クラフツで展示するイヌの基準を新たに示した。

専門家は簡潔に「人間が不自然な形状の犬を飼うのを止めればいい」と述べている。「優れた」見た目の犬を迎えたい飼い主の需要が無くなれば、不自然な交配も止まる。

【参考記事】ウォンバットのうんちはなぜ四角いのか

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

決算に厳しい目、FOMCは無風か=今週の米株式市場

ビジネス

中国工業部門企業利益、1─3月は4.3%増に鈍化 

ビジネス

米地銀リパブリック・ファーストが公的管理下に、同業

ワールド

米石油・ガス掘削リグ稼働数、22年2月以来の低水準
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ」「ゲーム」「へのへのもへじ」

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    走行中なのに運転手を殴打、バスは建物に衝突...衝撃…

  • 7

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 8

    ロシア黒海艦隊「最古の艦艇」がウクライナ軍による…

  • 9

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 9

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中