中国シェア自転車「悪名高きマナー問題」が消えた理由
実際にいくつかの中国の都市を見てみると印象が変わった。悪名高き中国人のマナー問題はどこへいってしまったのだろう!? 撮影:筆者
<中国発シェアリングエコノミーは世界から注目を浴び、いよいよ日本にもシェアサイクル大手が進出。中国内外のメディアでマナー問題がボトルネックといわれてきたが、筆者が中国で目にした現実とは>
6月22日、中国のシェアサイクル大手「モバイク(摩拜単車)」が日本法人設立を発表した。早ければ7月にも福岡市で試験的なサービスを始める見通しだ。
今やシェアサイクルを始めとする「中国発シェアリングエコノミー」は世界から熱視線を集めている。6月1日には、「ネット界の女王」と呼ばれるメアリー・ミーカー氏(ベンチャーキャピタル「KPCB」パートナー)のリポート『インターネット・トレンド』の2017年版が公開されたが、中国IT企業の成長ジャンルとしてシェアリングエコノミーが挙げられていた。
シェアリングエコノミーとはもともと、Airbnbに代表される民泊、Uberに代表されるシェアライドなど、一般市民が持つ家や自動車(そして自分の労働力)を提供して代価を受け取るというサービスだった。
ところが、中国発シェアリングエコノミーはやや様相を違えている。シェアサイクル、シェア・モバイルバッテリー、シェア雨傘、シェア・バスケットボールなど、さまざまなサービスが登場しているが、いずれもプロの事業者が一般ユーザーにサービスや製品をレンタルするという形式だ。
日本のシェアサイクルと違って乗り捨て自由
なかでも台風の目となっているのがシェアサイクルだ。日本法人を設立したモバイクとライバルの「ofo(共享単車)」という2強を筆頭に計30社近い企業が乱立し、激しい競争を繰り返している。
各社累計で2016年には200万台以上の自転車が投入されたが、2017年の投入台数は3000万台に達するとも予測されている。また、モバイクは先日6億ドルを超える融資を獲得したが、その多くは自転車の製造費用にあてられるとみられている。
【参考記事】中国の自転車シェアリング大手、世界へ拡大 7月には日本にも
なぜ中国発シェアサイクルはこれほどまでに注目を集めているのか。
日本にもある従来型のサービスは規定の駐輪場で自転車を借り、やはり規定の駐輪場で返すという仕組みだが、中国発のシェアサイクルでは街のどこでも乗り捨て自由。使いたい場合には、街のあちこちに放置されている自転車を探してスマートフォンで解錠。行きたい場所まで乗っていってそこに乗り捨てるという仕組みになっている。専用駐輪場まで行かなくて済むことで利便性が一気に高まったのだ。
私も実際に利用してみたが、なるほど、革命的なサービスだとうならされた。これまでは距離にして1キロ程度、徒歩10分を超えるような距離の移動には尻込みしていたが、シェアサイクルがあれば地下鉄駅から2~3キロ離れた場所への移動も苦にならない。値段も30分0.5元(約8円)程度と激安だ。
街を走っていると、学校帰りの中学生が下校のために利用している姿を見受けるなど、生活に溶け込んでいるさまがよくわかった。