海自の護衛艦いずも 南シナ海でレーダーに中国軍とおぼしき機影
南シナ海で哨戒活動
いずもが日本を出港したのは5月初め。同月中旬にシンガポールで国際観閲式に参加後、フィリピンへ寄港してドゥテルテ大統領を艦上に招待した。さらに米空母ロナルド・レーガンとの共同訓練をこなし、シンガポールへ戻って6月19日から23日まで報道陣と東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国の士官を乗せた。
海と空がまだ、暗闇に包まれている20日午前7時。遠くの空がときおり稲光で照らされる中、いずもの甲板からSH-60ヘリコプター3機が飛び立った。ヘリコプターの任務は、船の進路や周囲に異常がないかどうかを確認すること。いずものヘリコプターは1日に何度もこうした発着艦を繰り返す。
米軍は自衛隊が南シナ海で哨戒活動を行うことに期待を寄せるが、日本は東シナ海にも対応しなくてはならないとして、遠く南シナ海で定期的に哨戒する計画はないとしてきた。
いずもの甲斐義博艦長も「パイロットの技量維持などの訓練もある」と述べ、全てが哨戒のための飛行ではないと説明する。しかし、長期航海中のいずもが何度もこの海域でヘリコプターを飛ばすことは、結果としてその役割を果たすことにつながる。
同乗したASEAN士官
今回のいずもの長期航海には、護衛艦「さざなみ」が同行した。2隻は波が穏やかな南シナ海上を、ときに近づき、ときに離れ、陣形を組み替えながら航行している。大型タンクを備えるいずもから、ホースを伸ばしてさざなみに給油をすることもある。
洋上を航行しながら給油をするには、2隻が速度と針路を合わせて並走しなくてはならない。両艦の間隔はわずか40メートル。方位が1度でもずれれば衝突の恐れがある。21日午後、燃料が少なくなったさざなみに対し、いずもは150キロリットル、ドラム缶750本分の軽油を2時間かけて給油した。