最新記事

宇宙

イーロン・マスク「火星移住は生きている間に可能だと知ってほしい」

2017年6月16日(金)18時15分
ハナ・オズボーン

スペースXは2024年にも火星に有人宇宙船を送る計画だ SpaceX

<昨年10月に火星移住計画の詳細を明らかにしたイーロン・マスクが、可能性を信じて欲しいと訴え>

イーロン・マスクが建設を目指す火星都市構想について、自分たちの世代で移住が可能になることを信じてほしい、と力説した。

2002年に米民間宇宙企業スペースXを設立したマスクは、人類が火星に都市を建設する可能性を何年も訴えてきた。スペースXは現在、2024年までに火星に有人宇宙船を送る方針で、2030年前半の有人飛行を目指すNASA(米航空宇宙局)を大幅に上回る目標を掲げている。

マスクは米科学誌ニュー・スペースに掲載された論評で、火星都市の建設計画や、その後の宇宙探査をどう進めるかの概要を明かした。

「スペースXの火星都市建設を公にすることで、火星への移住)は遠くないと思ってもらいたい。生きている間に実現可能だと思ってほしい」とマスクは言う。「火星に行きたいと思いさえすれば、その方法はある」

火星と地球で人口バランスを

マスクによれば、人類には基本的に2つの選択肢がある。永遠に地球にとどまり最後は絶滅するか、「宇宙に生きる文明、(多くの惑星間で繁栄する)多惑星種」になるかだ。

マスクは後者の選択肢が「正しい道だ」とし、太陽系の惑星の中で唯一の候補が火星だと説明した。「たぶん月への移住も可能だしそれには全然反対しない。ただ月は惑星よりかなり小さいから、人類が繁栄するのは大変だ。月には大気がないし、火星ほど資源にも恵まれない。月の1日は28日なのに対し、火星の1日は24.5時間だ。人類が自立型で持続可能な文明を築いていくうえで、はるかに有利な条件がそろっている」

webs170616-mars02.jpg
SpaceX

火星での生存環境についても語った。「火星から太陽までの距離は地球と太陽の距離の倍程度なので、太陽光はそれなりに届く。気温は少し低いが、自分たちで温めればいい。そしてありがたい大気がある。二酸化炭素を主体に、窒素やアルゴンほか数種類の微量元素で構成される大気が火星に存在するということは、大気を圧縮するだけで、火星で植物を育てられる」

「火星の暮らしは楽しいと思う。火星の重力は地球の37%だから、重いものを持ち上げたり飛び跳ねたりすることもできる。しかも火星の自転周期は地球と似ている。現在地球には70億人が住んでいるが、火星には誰もいない。だから単純に(地球と火星の)配分を変えればいい」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

豊田織機の非公開化報道、トヨタ「一部出資含め様々な

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米

ワールド

アングル:バングラ繊維産業、国内リサイクル能力向上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 7
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 8
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 9
    ビザ取消1300人超──アメリカで留学生の「粛清」進む
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中