最新記事

宇宙

イーロン・マスク「火星移住は生きている間に可能だと知ってほしい」

2017年6月16日(金)18時15分
ハナ・オズボーン

スペースXの火星都市建設について、多くの障害が立ちはだかっているとマスクは言う。まずコストの問題だ。マスクは火星旅行の価格は、(貯金をすれば)希望者の誰もが払えるレベルに抑えなければならない。「旅費が1人につき100億ドルもするなら、自立型で持続可能な文明を築くことは不可能だ」

火星に打ち上げるすべての物資は、繰り返して使えるものでなければならない。火星の軌道に燃料補給所も必要だ。火星にきた宇宙船が地球に帰れるよう、火星で燃料を作らなければならない。「もし火星に来た宇宙船が地球に戻れなければ、火星都市建設までいくつ宇宙船があっても足りない。火星は宇宙船の巨大な墓場になってしまう」

地球から火星への移住は、最初は必要な貨物と第一陣の移住者たちを「まとめて輸送する」。「(宇宙船内の)与圧したセクションに約100人を乗せ、乗客の荷物とすべての非加圧貨物も同時に運ぶ。宇宙船の燃料のプラントをはじめ、製鉄所からピザ屋に至るまで何を建設するにも大量の物資を輸送しなければならない」

webs170616-mars03.jpg
SpaceX

目標は40~100年で100万人

マスクは火星都市の実現には、移住者が100万人に到達する必要があると考えている。現時点では「完全に自立型の持続可能な文明を構築する」のに40~100年かかる試算だ。

火星都市が完成すれば、人類が太陽系のほとんどの惑星に行けるようになるという。

技術が進めば、火星の基地から宇宙空間をさらに深く探索するチャンスが広がると信じている。「エンケラドス(土星の衛星)やエウロパ(木星の衛星)などに燃料の貯蔵所を建設し、もう1カ所を土星最大の衛星タイタンに、さらにもう1カ所を冥王星に作れば、太陽系のより広い範囲へ自由に行けるようになる」

(翻訳:河原里香)

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米人員削減、11月は前月比53%減 新規採用は低迷

ビジネス

英中銀、プライベート市場のストレステスト開始 27

ワールド

中国、レアアース輸出ライセンス合理化に取り組んでい

ワールド

ウクライナ南部に夜間攻撃、数万人が電力・暖房なしの
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国」はどこ?
  • 3
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与し、名誉ある「キーパー」に任命された日本人
  • 4
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 7
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 8
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 9
    台湾に最も近い在日米軍嘉手納基地で滑走路の迅速復…
  • 10
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 10
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中