コミー証言、トランプ大統領の司法妨害を立証できるか?
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6月8日、コミーFBI前長官(中央)は米議会証言で、フリン前大統領補佐官に対する捜査を中止するようトランプ大統領から指示されたと認識していると明言し、大統領が司法妨害をしたとの疑惑を補強する格好となった(2017年 ロイター/Jim Bourg)
コミー連邦邦捜査局(FBI)前長官は8日の米議会証言で、フリン前大統領補佐官に対する捜査を中止するようトランプ大統領から指示されたと認識していると明言し、大統領が司法妨害をしたとの疑惑を補強する格好となった。
司法妨害は、トランプ大統領に対する弾劾裁判の根拠となり得るが、その立証は、当事者の意図が構成要件となるため、明確さに大きく欠ける。コミー氏やFBI捜査に対するトランプ氏の対応や、大統領自身に、司法妨害が適用できるかどうかについて、法律専門家の見解は大きく割れている。
コミー前長官は上院情報委員会に対し、フリン氏に対するFBI捜査から手を引くようトランプ大統領から指示を受けたと理解していると述べた。昨年の米大統領選におけるロシア介入疑惑や、トランプ陣営との癒着の可能性を巡る捜査の一環で、フリン氏は捜査対象となっていた。
コミー前長官はまた、先月突然トランプ氏に解任された理由は、ロシア疑惑の捜査指揮に大統領が不満だったからだと認識していると答えた。
トランプ大統領の代理人、マーク・カソウィッツ弁護士は、コミー氏の議会証言後、「大統領は、形式的にも実質的にも、コミー氏に対して誰かの捜査をやめるよう指示したり、提案したことは一度もない」と述べた。
司法妨害の要件と、コミー証言が訴追や弾劾に結びつくかどうかを検証した。
●司法妨害とは何か
裁判所が扱う事件や、刑事捜査、政府の行政手続きに対する妨害行為を犯罪とする条項は、連邦法と州法に複数存在する。
誰かを司法妨害容疑で訴追するには、検察官は、その人物に捜査や行政手続きを妨害する意図があったことを立証する必要がある。その人物が妨害に成功したかどうかは関係がない。
では、大統領が司法妨害で訴追を受けることは可能なのか。
米国憲法は、大統領を犯罪行為で訴追ができるかどうか、直接言及していない。多くの法律専門家は、これにより大統領は刑事訴追を免れると解釈している。だがこれは、「未決着の法律論争」だと、サバンナ法科大学院のアンドリュー・ライト教授は指摘する。