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情報セキュリティ―

中国式ネット規制強化で企業情報がダダ漏れの予感

2017年6月12日(月)10時00分
ミレン・ギッダ

知的財産が狙われている

15年の米情報当局の試算では、中国のハッカーが盗むアメリカの情報は知的財産だけで年間3600億ドル相当。米鉄鋼大手USスチールは翌16年4月、中国のハッカーが長年の研究データを盗んで中国企業に渡したと報告した。今年アメリカが知的財産権侵害に関する年次報告書で中国を11の「優先監視国・地域」の1つに再指定したのは、こうした事情からだろう。

新法をめぐっては、在中米商工会議所をはじめ世界の経済団体などが共同で延期を求める書簡を中国政府に送付。セキュリティーを懸念するのはどの国も同じだが、「これらの懸念に取り組むために、この国で商売する気なら技術を移転し、ブランドとコンピューターを明け渡せ、と要求する国の筆頭格」として中国を名指ししている。

【参考記事】ランサムウエア「WannaCry」被害拡大はNSAの責任なのか

ツァンによれば、新法は中国のセキュリティー上の真のニーズを満たすものだ。中国はサイバーセキュリティーを強化する権利はあるが、中国の制度は「民主主義の抑制と均衡という点では不十分」で、新法の施行によってアクセス可能になる情報を中国がどう使うかは分からないという。

それでも多くの多国籍企業が渋々ながらも新法に従うことになりそうだ。中国は世界第2位の経済を誇り、多くの企業にとって切り捨てられない市場だ。中国とビジネスをするなら代償を覚悟しなければならない。

[2017年6月13日号掲載]

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