トランプ米大統領、パリ協定「もうすぐ」決断 離脱報道受け
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5月31日、トランプ米大統領は「パリ協定」からの離脱を決めた。写真はイタリアで27日撮影(2017年 ロイター/Jonathan Ernst)
トランプ米大統領は31日、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」から離脱を決めたとの報道について「もうすぐ分かる」と述べ、決断が近いことを明らかにした。事情に詳しい関係筋によると、大統領は離脱を準備している。
離脱が事実なら、世界でパリ協定に参加していないのはシリア、ニカラグア、米国のみとなり、米国の同盟国との亀裂が深まる可能性がある。
トランプ大統領はホワイトハウスで記者団の問い掛けに対し、すでに決断を下したかどうかについては言及を避けたうえで、「両方の立場について多くの人の意見を聞いている」と語った。
関係筋によると、トランプ氏はプルイット環境保護局(EPA)長官とともに離脱の条件を検討している。
スパイサー大統領報道官は定例会見で、完全撤退以外の道を選ぶ可能性があるかどうかについてコメントを避けた。
2015年にパリで採択されたパリ協定には195カ国が署名。オバマ前米政権は2025年までに地球温暖化ガスの排出量を05年比で26─28%減らすと表明していた。
一方、国内石油・石炭産業支援を目指すトランプ氏は、昨年の大統領選で同協定からの離脱を公約。同氏は先週の主要7カ国(G7)首脳会議で、決定には一段の時間を要するとして、協定への支持表明を拒否していた。
米国は温暖化ガス排出量が中国に次いで世界第2位であるため、米国の離脱はパリ協定での温暖化ガス削減の取り組みに甚大な影響を及ぼすことになる。
米経済界では、エクソンモービルやアップル、ダウ・ケミカル、ユニリーバ 、テスラなどの大手企業の最高経営責任者(CEO)がこれまでトランプ氏に対し残留を求めた。一方、選挙中にトランプ陣営の大口献金者だった石炭会社マレー・エナジーのCEOはトランプ氏に離脱するよう迫った。
31日の取引で米石炭・再生可能エネルギー株は下落。米国の離脱によって、海外の石炭権益が逆風にさらされるとの懸念を映した。