内向型人間がいないと多くのプロジェクトは成立しない
チームの中の「内向型人間」
「内向型人間」はチームワークができないのか?
「内向型人間」はひとりで仕事をしたり、考えたりするのが好きです。だからチームワークが苦手だと思われがちです。一方「外向型人間」はチームワークが大好きなので得意にも見えます。ですがこの見方は当たっていません。「内向型人間」がいないと多くのプロジェクトは成立しませんし、チーム自体も実力を最大限発揮することはできません。しかし「内向型人間」は「外向型人間」とは違う行動をし、チームメイトから過小評価されることが多いのは事実です。
チーム内で過小評価される「内向型人間」
「内向型人間」は「静かな人」です。チームワークだからといって、そのことを変える必要があるでしょうか? 「内向型人間」は自分があげた成果が他のチームメイトから認められると実力を発揮しはじめます。しかしチームメイトから認められるかどうかは、専門分野や企業構成や同僚や上司の見解やチーム内の「内向型人間」と「外向型人間」の比率といった要因に左右されます。
知り合いのザビーネは、数か月前まで大手コンツェルンの社員で、あるプロジェクトチームに所属していました。彼女ともうひとりの同僚は「外向型人間」ばかりのチーム内でまさに日陰の存在でした。プロジェクトマネージャーである女性上司はザビーネに「プロジェクトチームから出て行って欲しい」と遠まわしに言いました。ザビーネには個性と積極性が足りないと思っていたからです。ザビーネは彼女の意向を受け入れ、他企業に履歴書を送り、採用が決まり、以前よりもいいポジションで働けることになりました。計算や見本作成が得意なだけでなく、部署間の連絡を取りまとめることに長けていたからです。プロジェクトマネージャーはそんなザビーネの特性を知りませんでした。ただ「静か」だからという理由だけで彼女を過小評価していたからです。そうこうしているうちにそのツケはまわってきました。チーム内の情報収集がうまくいかなくなり、作成した見本についてクライアントからクレームを受けてしまったのです。プロジェクトマネージャーはそれでも自分の非を認めようとはしませんでした。それどころか「あなたが注意しなかったからこうなったのよ」とザビーネを最後に非難したのでした。
特性が認められなかったら
「内向型人間」の多くがザビーネのような経験をしています。強みを活かせさえすれば成果をあげ、チーム全体に貢献できるのに、チームメイトからは「もの静かで何もできない」と決めつけられてしまうのです。「外向型人間」は「内向型人間」の長所に気づけない、というのが「内向型人間」が評価されにくい理由でしょうか? これには「はい」とも「いいえ」とも答えられます。なぜなら「内向型人間」は自らの強みと成果をアピールすることが少なすぎる、というのも評価されにくい理由だからです。
※第5回:ひとり黙々と仕事がしたいあなたへ:チームワークを成功させる方法
『内向型人間のための人生戦略大全』
シルビア・レーケン 著
岡本朋子 訳
CCCメディアハウス
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