企業が動画マーケティングで成果を出す方法とは?
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Pinkypills-iStock.
<動画コンテンツが爆発的に広がり、今や企業にとっても重要なマーケティング手法となっている>
料理の動画に動物の動画、ドローンで空撮された動画に、記者会見やニュース現場の動画......。最近はフェイスブックのタイムラインを眺めていても、惹きつけられる投稿は動画が多い。
静止画と文字で構成された記事を読むよりも、"見るだけ"でいい動画はユーザーにとって敷居が低い。スマートフォンの普及によって、いつでもどこでも視聴が可能になったことで、ネットの動画コンテンツは爆発的に広がっている。
情報を発信する企業にとっても、視聴者に向けて印象に残りやすいメッセージを届けられる動画は、パワフルで魅力的なコンテンツだ。さらには、フェイスブックやYouTubeではなく自社サイトで配信した場合、ユーザーの滞在時間延長やSEO(検索エンジン最適化)の向上につながるという利点もある。
しかし当然ながら、動画マーケティングに取り組めば、どの企業も成果を得られるとは限らない。適切なタイミングで、適切な情報を視聴者に提供しなければ、せっかくの投資も水の泡になってしまうのだ。
テレビCMをネットで配信するだけでは効果を得られない
動画マーケティングにおいて企業が陥りがちな失敗例として、目的(期待する効果)をはっきり設定せずに実行してしまうということがある。
例をあげてみよう。
定期的にテレビCMを流しているA社が、YouTubeなどの動画配信サイトに公式チャンネルを設け、自社サイト上とともに、商品CMの動画配信をスタートさせた。しかし、再生数などの基礎指標は一応モニターしているものの、その数字がどのような成果につながっているのかは把握できていない――。
そうなれば、A社は継続的な動画マーケティングのプランを立てられないだろう。問題の根本は、誰に向かって、何を伝え、その結果どういう効果を得たい、といった目的を定めずに漠然と進めてしまったことにある。
本来であれば、商品の存在を知らしめニーズを掘り起こす「認知」層向け、商品理解を促す「サーチ」層向け、商品購入が最終的な目標となる「アクション」層向け、とターゲット層を定めなければならない。発信したいターゲット層を明確にすると、伝えるべき情報、メディアの選定の最適化が図れ、ブレのない動画マーケティングを展開できるのだ。
A社のように、幅広いテレビ視聴者に向けたCM動画をただ配信するだけでは、「認知」層、「サーチ」層、「アクション」層のいずれにもリーチできず、まったく効果のないマーケティングに終わってしまう。
しばらく更新されていない企業の動画公式チャンネルを見かけることがあるが、放置しておくと企業(ブランド)イメージの低下につながる危険性もある。