「エゴを持たない」食材宅配サービスのスタートアップ
HelloFreshを、世界に通用するブランドに
カルチャーを浸透させるためのイベントは、他にもある。料理撮影の様子を見学したり、物流センターを訪れて物流の仕事を学んだり、ダイレクトセールスの様子を見学してプロモーションの仕事を学んだり、自己の業務では見られない現場を体感する。こうした取り組みを通じて、普段直接交流のない社員同士のコミュニケーションを促進させるのが狙いだ。ステファン氏の企画で、ヨガ教室やドイツ語教室も行われているそう。「海外から来る社員が多いこともあり、ドイツ語教室は特に人気がありますね」(ラーケン氏)。変わったところでは、「ブラインドデート」という取り組みも。ランダムに選ばれた社員同士が一緒にランチをとるというもので、コミュニケーションの促進に一役買っている。
こうしたカルチャー面だけでなく、外国人の社員のためにビザを取ったり、住居を用意するなどのハード面のサポートも、もちろん充実している。いずれも応募者が安心してベルリンに来ることができるように整備した仕組みだ。
「週末に新入社員を連れてベルリンの街を案内する『Explore Berlin』というイベントも行われています。HelloFreshのカルチャーを知ってもらうことはもちろん大切ですが、これから働くベルリンの街についても知っておいてほしいですからね」(ステファン氏)
これほどまで世界中から人材が集まるHelloFreshが拠点を置くベルリンという街にはどんな魅力があるのだろう。「ベルリンには、多くのユニークなレストランやマーケットが集積しており、飲食業界全体が盛り上がっています。しかも、他の大都市と比べると手頃な価格で提供されているのです。2016年の夏にTech Open Airが開催されたように、ベルリンはインスピレーションで溢れています。テック関連のスタートアップに適した場所だと言えるでしょう。ヨーロッパにおいて社会的に安定しているという点も、海外からの人材が集まる理由かもしれませんね」(ラーケン氏)
ネットワーキングで経営課題解決
「さらに、私たちのようなレベルの企業にとっては、ベルリンにおけるネットワーキングはとても大切な手段です。ベルリンにはコワーキングスペースがたくさんあり、いくつかのスタートアップがその場を共有するということもよくありますよ」(ステファン氏)。実際、HelloFreshにもそうした例はあるそうだ。
【参考記事】ドイツ発「インダストリー4.0」が製造業を変える