最新記事

キャリアアップ特集

「折れない心」を持っている人には、信頼できる人間関係がある

2017年5月22日(月)15時10分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

sharpshutter-iStock.

<レジリエンスは孤立していては獲得できない。不安定でストレスの多い時代を生き抜くための「打たれ強さ」の身につけ方>(2016年10月21日にアップした記事の再掲載です)

ここ数年、ビジネスの世界で関心を集めている概念がある。「resilience(レジリエンス)」だ。日本語では「復活力」や「逆境力」、あるいは「折れない心」などと訳されるが、そのままカタカナで「レジリエンス」と表記されることも多い。

いわば「打たれ強さ」とも言い換えられるが、レジリエンスは孤立していては獲得できない。「人間関係を頼ることもとても重要だ」と、イギリスのキャリア・ストラテジストであるジョン・リーズは言う。「レジリエントな人は、相互に信頼し、支え合える強固な関係を少なくとも数人とは結んでいるものである」

とはいえ、人間関係は難しい。職場には何かしら人間関係の問題があるものだし、面と向かって仕事ぶりについて話したり、行動を改めるよう告げたりといった、部下や同僚との難しい話し合いの場も避けられない。

リーズは、レジリエンスを習得・開発・強化する方法を伝えるべく、『何があっても打たれ強い自分をつくる 逆境力の秘密50』(関根光宏訳、CCCメディアハウス)を上梓した。50の項目にまとめられた実践的な1冊だ。

ここでは本書から「24 難しい関係にうまく対処する」を抜粋して掲載する。人間関係を壊す要因とは何か、難しい話し合いにはいかにして臨むべきか。


『何があっても打たれ強い自分をつくる
 逆境力の秘密50』
 ジョン・リーズ 著
 関根光宏 訳
 CCCメディアハウス

※シリーズ第1回:レジリエンス(逆境力)は半世紀以上前から注目されてきた
※シリーズ第2回:成長するには「失敗」に必要以上の注意を向けないこと
※シリーズ第3回:管理職が陥る「自分なんて大したことない」症候群

◇ ◇ ◇

誰もが、自分こそが職場で唯一良識を備えた有能な人間だと確信しているものだ。職場ではさまざまな形の不幸に遭遇するが、そうした不幸の中心に存在するのが、「難しい」人間関係である。「難しい」の意味をはっきりとさせよう。難しい話し合いとは、聞いていてつらい話し合いだ。誰かがあなたの仕事ぶりについて話したり、誰かに行動を改めるよう告げなければならなかったりする話し合いだ。

月末報告書を頼んだだけなのだが、その要求が相手をいら立たせることがある。何を言っても批判のように受け取られ、何を聞いても脅しのように聞こえる状況に陥ってしまうこともある。気まずくなってしまった関係を放置するのは、賢明とは言えない。人間関係の問題にはすばやく対処しよう。必要ならアドバイスをもらい、常に先々のことを考えて、必要な話し合いに備えよう。

人間関係を壊す要因を見極める

あなたの成功を阻むものは何だろうか? コーチングでは、この重要な質問によって、仕事の障害となる多くの要因を浮き彫りにできる。現代の職場で成功を阻む人的要因は、だいたい以下のようなものだ。

●陰口、中傷、サイロ思考
●コミュニケーションがうまくいっていない、または時間がかかる
●仕事上のチームにおける人間関係がよくない
●過度に心配性の上司が細かい点まで管理しようとしてくる
●管理職が首尾一貫した明確な目標を設定しない

ここで重要な問題となるのは、人間関係における結束力の弱さがあなたの仕事の成果にどの程度の影響を及ぼすかという点だ。

職場には、必ず人間関係の問題がいくつか存在する。成果の達成を阻む問題を見極めよう。次に、そうした問題について、あなたに何ができるのかを考えよう。周囲の人を通じて、あるいはあえて難しい話し合いに挑むことによってできることはないだろうか。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 10
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中