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EU仏マクロン次期大統領のEU強化構想巡り、ドイツで論争
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5月10日、フランス大統領選で欧州統合をさらに推進するよう求めるマクロン前経済相が当選したことを受けて、ドイツでは同国がどう対応すべきかを巡って政治的な論争が繰り広げられている。写真はパリ・リュクサンブール公園で撮影(2017年 ロイター/Christian Hartmann)
フランス大統領選で欧州統合をさらに推進するよう求めるマクロン前経済相が当選したことを受けて、ドイツでは同国がどう対応すべきかを巡って政治的な論争が繰り広げられている。
マクロン氏は選挙運動中、フランスとドイツの関係を再強化し、欧州統合をさらに進めると主張してきた。ユーロ圏の予算・財務大臣を設ける案などを提唱している。
9月のドイツ総選挙でメルケル首相の主要な対立候補となるドイツ社会民主党(SPD)のシュルツ党首はマクロン氏の構想を支持。ドイツの週刊紙ディー・ツァイトのインタビューに応じ「ユーロ・グループ加盟国が一緒に課題に取り組むのであれば、共通の予算を組むことは理にかなっている」と述べた。「意味のない、結果を伴わない首脳会談の声明を果てしなく発表し続けることに終止符を打ちたければ、ユーロ圏の経済と雇用を拡大する戦略が必要だ」と付け加えた。
一方、ドイツのショイブレ財務相は9日、マクロン氏の構想の中には政治的に意見が割れるEU条約の変更が必要なものもあり、現実的でないと発言している。
マクロン氏は、今年は国内の経済改革を優先すると主張している。側近らによると、ドイツで新政権が成立するまで、異論も多いユーロ圏改革についてドイツと協議を始める計画はない。代わりに、マクロン氏は1週間後のメルケル首相との会談で、安全保障や防衛、エネルギー、税制など協力が可能な分野で、両国で作業部会を設置することを協議する可能性があるという。
メルケル首相が9月の選挙で勝利した場合に、メルケル氏率いるキリスト教民主同盟(CDU)と連立を組む可能性がある野党・自由民主党(FDP)のリントナー党首は10日、ドイツ紙フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)に対し、マクロン氏とは欧州について「気まずい」協議をすることになるだろうと述べた。「彼は、責任が共通化され不鮮明となるEUにしようとしている」と指摘。シュルツ氏のSPDはマクロン氏と組んで、国の債務が増やそうとしていると批判した。
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