最新記事

韓国大統領選

投票率90%!? 次の韓国大統領に韓国人が望むこと

2017年5月9日(火)15時44分
シャノン・シュワイツァー

大統領選投票日、ソウルの投票所に表れた人々 Kim Hongji-REUTERS

韓国で間もなく、新しい大統領が選ばれる。韓国は現在、国内でも周辺地域でも混乱と緊張を抱えており、投票率は記録的な高さになる可能性がある。この選挙は韓国にとって、とりわけ韓国とアメリカとの関係にとって、どのような意味を持つのだろうか?

3つの側面から検討してみよう。

太陽政策に回帰?

韓国では10年近くにわたり、北朝鮮に対する強硬姿勢を支持する保守派が政権を握ってきた。だが今回、韓国の国民は、より柔軟な姿勢を支持するリーダーの選出に傾いているようだ。リベラル派の最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)候補は、当選したら北朝鮮の金正恩政権との対話も辞さないと言っている。

【参考記事】韓国の次期「左派大統領」が進む道

文はワシントン・ポスト紙のインタビューで、「金正恩と話し合う用意はある。核問題の解決という前提が担保されていれば、の話だが」と述べた。現時点の世論調査で他候補を20ポイント近くリードする文は、対北朝鮮の「太陽政策」と密接な関わりがある。太陽政策は、経済支援と対話を通じて信頼構築を目指すもの。文は、直近のリベラル派の大統領、盧武鉉(ノ・ムヒョン)の側近だった。

文が当選すれば、アメリカとの関係にも連鎖的な影響が及ぶ可能性がある。米韓関係は、ドナルド・トランプ米大統領が北朝鮮を挑発したり、アメリカの対韓貿易赤字を非難し、韓国に配備する高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)の対価の支払いを求めるなどしたため悪化している。THAAD配備の費用については、既に、アメリカが負担するという合意ができていたため、尚更韓国の怒りを買った。

【参考記事】韓国大統領選を中国はどう見ているか?

保守派の対立候補とは対照的に、文はTHAADのリスクと利点の再検討を主張してきた。THAADについては、5月1日に初期運用が可能になったと報じられており、アメリカが投票日前に押し通そうとしたのではないか、との批判を呼んだ。文は3月に、「THAAD配備の是非については、次期政権が決定するのが当然だ」と述べている。

腐敗と政治改革

朴槿恵(パク・クネ)前大統領が憲法裁判所の決定により罷免され、急きょ大統領選が始まってから2カ月が経った。政治の停滞と大統領不在により、韓国は舵取り役がいない状態に置かれ、国民の不満がたまっている。

【参考記事】歴代大統領の不正と異なる「朴槿恵逮捕」の意味

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

日製副会長、4月1日に米商務長官と面会=報道

ワールド

米国務長官、4月2─4日にブリュッセル訪問 NAT

ワールド

トランプ氏「フーシ派攻撃継続」、航行の脅威でなくな

ワールド

日中韓、米関税への共同対応で合意 中国国営メディア
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 9
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中