投票率90%!? 次の韓国大統領に韓国人が望むこと
朴を失職に追い込んだのは、2016年後半に噴き出したスキャンダルだ。サムスン電子をはじめとする韓国最大規模の財閥も絡んでいた。サムスンの事実上のトップである李在鎔(イ・ジェヨン)は、贈賄の疑いで2月に逮捕され、それ以降、ソウルの拘置所で独房暮らしを送っている。
朴本人は、収賄、強要、職権乱用など18件の罪状で、4月に正式に起訴され、5月2日には、激しいデモが巻き起こるなか、事実上の初公判となる公判準備手続きが開かれた。
こうした状況は、一部の有権者の目には、「チェボル(財閥)」と呼ばれる韓国同族企業の揺るぎない影響力を浮き彫りにするものと映る。チェボルは、長年にわたる政府との癒着により、莫大な恩恵を受けてきた。
韓国の世論調査会社REALMETER(リアルメーター)が5月3日に発表した調査結果によれば、回答者の多く(27.5%)は、投票先を決める最大の判断基準として、「根深い腐敗に取り組む候補者の意欲」を挙げている。それに続くのが、経済改革と国家安全保障だ(それぞれ24.5%、18.5%)。
高い投票率
5月4日と5日には、大統領選挙の事前投票が行われ、記録的な数の有権者が票を投じた。事前投票は2014年の地方選挙から導入された制度だが、大統領選挙では今回が初めてとなる。
韓国の中央選挙管理委員会によれば、事前投票期間の2日間で、有権者総数4200万人の26%にあたる1100万人が、全国3500カ所以上の会場で投票したという。これは、2016年総選挙における事前投票者数の2倍を上回っている。
このような投票率の上昇は、今回の選挙に対する国民の強い関心と、政権交代を求める強い思いを示している。特に、若者のあいだでは関心が高い。中央選挙管理委員会が実施した調査では、回答者の87%近くが、今回の選挙で投票に行くつもりだと答えている。この割合は、2012年に行われた前回の大統領選挙の80%から上昇している。
若い有権者の選挙に対する関心も高く、「投票に行く」と回答した有権者は、2012年の85%から95%に上昇した。こうした若い有権者の多くは、今年はじめに朴の辞任を求め、大挙してデモに押し寄せた人々だ。30歳未満の有権者たちの主要な関心事である「若者の失業率」は、2016年に9.8%という過去最悪の水準となった。若者投票率の上昇は、80万人分を超える公共セクターの雇用創出を公約としている文の追い風になると見られている。
韓国ギャラップが実施した最新の世論調査によれば、支持率では「共に民主党」の文が支持率38%で大きくリード。中道左派の「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)が20%でそれに続いている。
韓国を取り巻く環境と、投票率の高さを考えると、次期大統領は誰であれ、国民の重い負託を果たすことになるだろう。
(翻訳:ガリレオ)