最新記事

べネズエラ

ベネズエラ、マドゥロ政権による自主クーデターの顛末

2017年4月4日(火)21時58分
野田 香奈子

2017年 ロイター/Carlos Garcia Rawlins

<3月29日、ベネズエラ最高裁は、石油合弁事業の認可において、国会の役割を代行することを決定した。これに対し、国内での抗議活動はもとより、国際社会からも批判の声が上がっている。果たして今回の事態を招いた原因は?>

ベネズエラがここ数日、大変なことになっています。

日本のメディアはこれを政治問題捉えているようですが、数日経った今、これは政治問題ではなく、むしろ今月12日に支払い期限を控えたベネズエラ石油公社PDVSAの債務返済問題の副産物である、というのが大方の見方だと思います。

ベネズエラはここ数年、PDVSAの債務支払いが滞ればデフォルトという綱渡りを続けています。マドゥロ政権は何がなんでも債務を支払うという姿勢を見せており、昨年までは中国から融資を得て瀬戸際でデフォルトを回避していました。が、ここにきて中国からの融資さえ難しくなっています。そのような中、ベネズエラの債務支払い問題にロシアの国営石油会社ロスネフチが関わってきている、ということが背景にあります。

日本のメディアは触れられていませんが、これは石油や石炭といった資源の事業(この場合PDVSAの扱い)に関する法律である炭化水素法に関連する問題なのです。

時系列にそって見てみましょう。


3月29日

ベネズエラの最高裁が炭化水素法に関する判決No.156を出す。そのうちの4.4項の1文が、「以後国会の権限を最高裁が行使する」という内容だったため、野党をはじめ南米諸国がびっくり!

3月30日

ベネズエラの野党、南米諸国、EUが次々とベネズエラを非難する声明を発表。

米州機構(OAS)はこれを自主クーデターだと非難、ペルーは大使を召還、長らくベネズエラに対して当たり障りのない対応に終始していたコロンビア政府がメキシコの説得でついに非難を表明するなど。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、NYマンハッタンの「渋滞税」承認 1月5日から

ワールド

トランプ氏、農務長官にロフラー氏起用の見通し 陣営

ワールド

ロシア新型中距離弾、実戦下での試験継続 即時使用可

ワールド

司法長官指名辞退の米ゲーツ元議員、来年の議会復帰な
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでいない」の証言...「不都合な真実」見てしまった軍人の運命
  • 4
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 5
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 6
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 7
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 8
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 9
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 10
    巨大隕石の衝突が「生命を進化」させた? 地球史初期…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 6
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 9
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 10
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中