ベネズエラ、マドゥロ政権による自主クーデターの顛末
2017年 ロイター/Carlos Garcia Rawlins
<3月29日、ベネズエラ最高裁は、石油合弁事業の認可において、国会の役割を代行することを決定した。これに対し、国内での抗議活動はもとより、国際社会からも批判の声が上がっている。果たして今回の事態を招いた原因は?>
ベネズエラがここ数日、大変なことになっています。
日本のメディアはこれを政治問題と捉えているようですが、数日経った今、これは政治問題ではなく、むしろ今月12日に支払い期限を控えたベネズエラ石油公社PDVSAの債務返済問題の副産物である、というのが大方の見方だと思います。
ベネズエラはここ数年、PDVSAの債務支払いが滞ればデフォルトという綱渡りを続けています。マドゥロ政権は何がなんでも債務を支払うという姿勢を見せており、昨年までは中国から融資を得て瀬戸際でデフォルトを回避していました。が、ここにきて中国からの融資さえ難しくなっています。そのような中、ベネズエラの債務支払い問題にロシアの国営石油会社ロスネフチが関わってきている、ということが背景にあります。
日本のメディアは触れられていませんが、これは石油や石炭といった資源の事業(この場合PDVSAの扱い)に関する法律である炭化水素法に関連する問題なのです。
時系列にそって見てみましょう。
3月29日
ベネズエラの最高裁が炭化水素法に関する判決No.156を出す。そのうちの4.4項の1文が、「以後国会の権限を最高裁が行使する」という内容だったため、野党をはじめ南米諸国がびっくり!
3月30日
ベネズエラの野党、南米諸国、EUが次々とベネズエラを非難する声明を発表。
米州機構(OAS)はこれを自主クーデターだと非難、ペルーは大使を召還、長らくベネズエラに対して当たり障りのない対応に終始していたコロンビア政府がメキシコの説得でついに非難を表明するなど。