トランプの硬軟使い分け、企業トップが見た大統領「裏の顔」
大手企業のトップと直接会うときのトランプ大統領は、愛嬌と口当たりのよい言葉で相手をもてなす。その場合の大統領は柔軟で好奇心旺盛、さらに相手の誕生日を記憶するような追従上手で、相手の企業に対しても惜しみなく讃辞を浴びせていた、と非公開の会合について匿名を条件に取材に応じてくれた人々は指摘する。
株価急落をもたらすようなおおっぴらな攻撃をしているにもかかわらず、こうした大統領のプライベートな一面が、多くの企業トップに、トランプ氏はビジネスに好影響を及ぼすとの自信を与えている。大統領は7日にも、医薬業界の競争促進と薬価引き下に向けた制度に取り組んでいるとツイートし、製薬各社の株価をさらに押し下げた。
ホワイトハウスでの会合で、トランプ大統領はもっぱら規制緩和について重点的に語ったという。それは、オバマ前政権によって課されたルールの撤廃を、重要な優先事項の1つにしていることを裏付けている。トランプ大統領はよく、企業の新規雇用増大を妨げている規制は何かを問いただし、問題の解決を約束すると企業トップらは語る。
「大統領は会合前に(メディアの)カメラ向けに一言発言し、いったん扉を閉ざすと一転して、肩を叩き合うような親密な雰囲気に変わる」とこうした会合について説明を受けたある人物は語る。「愛想がよく、他の大物企業トップたちと大の仲良しのように見られたがる」
実業家出身のトランプ大統領は、企業トップとの非公開会合を、取締役会のように進行しているという。独断的な彼のツイートとは対照的に、列席する全員から意見を求め、オバマ氏やジョージ・W・ブッシュ氏といった前任者と比べても、台本通りの発言が少ないという。
<執務室のガイド役>
トランプ大統領が非公開会合で業界トップたちとどう接しているのかについては、あまりにも情報が少ないために、業界団体や企業幹部らは、この会合にどのように臨むべきか、ノウハウの交換を始めている。
「(こうした会合について)何を予想し、どう行動すべきか、水面下で情報共有が行われている」と語るのは、トランプ大統領との会合に向けての準備に携わったある業界団体幹部だ。ホワイトハウス詣でを控えた他の業界幹部からもひっきりなしに問い合わせの電話がかかってくるようになったという。