最新記事

アメリカ政治

トランプの硬軟使い分け、企業トップが見た大統領「裏の顔」

2017年3月14日(火)10時41分

大手企業のトップと直接会うときのトランプ大統領は、愛嬌と口当たりのよい言葉で相手をもてなす。その場合の大統領は柔軟で好奇心旺盛、さらに相手の誕生日を記憶するような追従上手で、相手の企業に対しても惜しみなく讃辞を浴びせていた、と非公開の会合について匿名を条件に取材に応じてくれた人々は指摘する。

株価急落をもたらすようなおおっぴらな攻撃をしているにもかかわらず、こうした大統領のプライベートな一面が、多くの企業トップに、トランプ氏はビジネスに好影響を及ぼすとの自信を与えている。大統領は7日にも、医薬業界の競争促進と薬価引き下に向けた制度に取り組んでいるとツイートし、製薬各社の株価をさらに押し下げた。

ホワイトハウスでの会合で、トランプ大統領はもっぱら規制緩和について重点的に語ったという。それは、オバマ前政権によって課されたルールの撤廃を、重要な優先事項の1つにしていることを裏付けている。トランプ大統領はよく、企業の新規雇用増大を妨げている規制は何かを問いただし、問題の解決を約束すると企業トップらは語る。

「大統領は会合前に(メディアの)カメラ向けに一言発言し、いったん扉を閉ざすと一転して、肩を叩き合うような親密な雰囲気に変わる」とこうした会合について説明を受けたある人物は語る。「愛想がよく、他の大物企業トップたちと大の仲良しのように見られたがる」

実業家出身のトランプ大統領は、企業トップとの非公開会合を、取締役会のように進行しているという。独断的な彼のツイートとは対照的に、列席する全員から意見を求め、オバマ氏やジョージ・W・ブッシュ氏といった前任者と比べても、台本通りの発言が少ないという。

<執務室のガイド役>

トランプ大統領が非公開会合で業界トップたちとどう接しているのかについては、あまりにも情報が少ないために、業界団体や企業幹部らは、この会合にどのように臨むべきか、ノウハウの交換を始めている。

「(こうした会合について)何を予想し、どう行動すべきか、水面下で情報共有が行われている」と語るのは、トランプ大統領との会合に向けての準備に携わったある業界団体幹部だ。ホワイトハウス詣でを控えた他の業界幹部からもひっきりなしに問い合わせの電話がかかってくるようになったという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ウクライナ戦争終結へ特使検討、グレネル

ビジネス

米財務長官にベッセント氏、不透明感払拭で国債回復に

ビジネス

トランプ氏、財務長官に投資家ベッセント氏指名 減税

ワールド

トランプ氏、CDC長官に医師のデーブ・ウェルドン元
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでいない」の証言...「不都合な真実」見てしまった軍人の運命
  • 4
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 5
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 6
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 7
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 8
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 9
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 10
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 9
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 10
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中