最新記事

アメリカ政治

トランプの硬軟使い分け、企業トップが見た大統領「裏の顔」

2017年3月14日(火)10時41分

こうした会合の締めくくりとして、トランプ大統領はよく彼の執務室へと皆を招き入れ、そこに飾られた絵画や彫刻、家具、それに自分が選んだ敷物やカーテンを披露している。またオバマ氏から引き継いだキング牧師の胸像を紹介し、最後にデスクの向こうで記念撮影をする。

「大統領はツアーガイドになり、執務室を彼らに案内する」とこの業界団体幹部は言う。「執務室をとても誇りにしている」

<椅子を引き、誕生日の祝いも>

1月24日にホワイトハウスを訪れ、トランプ大統領と朝食を共にした自動車産業ビッグスリーのCEOたちは、嬉しい驚きを味わった。

トランプ大統領は当選以来、自動車各社がメキシコで生産を行なっていることを頻繁に批判しており、米国メーカーがこれ以上米国の雇用を海外に移転させれば、「必ず重大な結果を招く」と警告してきた。

この日、大統領は「ルーズベルト・ルーム」に入ると、ゼネラル・モーターズ(GM)のメアリー・バーラCEOの肩を叩いて親しげに挨拶し、米国内での雇用を増やすよう穏やかに促した。会議の冒頭部分の録画によれば、会議が始まる前にはトランプ氏がバーラCEOのために椅子を引いてあげたという。

トランプ大統領はフォード・モーターのマーク・フィールズCEOに「誕生日おめでとう。皆さん、今日は彼の誕生日だ」と挨拶。フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)のセルジオ・マルキオーネCEOに対しては、彼と会えたことを「大変な光栄」だと表現した。

事前にツイートしていた内容とは異なり、トランプ大統領は、具体的に米国に工場を建設するよう、彼らに要求したりはしなかった。代わりに、規制に関するCEOたちの不満に耳を傾け、支援することを約束した。この会合について説明を受けた人々はそう説明した。

高名なゲストたちを相手にトランプ氏はお世辞を振りまき、ときには冗談も口にしている。

キャンベルスープのデニス・モリソンCEOがこうした会合で自己紹介したところ、トランプ大統領はすぐに「美味しいスープですよね」と応じたという。

別の会合で、米ディスカウントストア大手ターゲットのブライアン・コーネルCEOが話しかけると、大統領は相手の社名を「Tar-Jay」と発音。ターゲットの社名をフランス語風に発音して高級そうに見せるという、よくある冗談を披露したのだ。

(翻訳:エァクレーレン)



Ginger Gibson and David Shepardson
[ワシントン 8日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国「米の独断専行に最後まで付き合う」、関税引き上

ワールド

米ホワイトハウス、政府のAI利用拡大へ省庁に戦略策

ビジネス

街角景気3月は0.5ポイント低下、判断「このところ

ワールド

香港、自由貿易協定拡大へ 米関税は「冷酷」とトップ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ関税大戦争
特集:トランプ関税大戦争
2025年4月15日号(4/ 8発売)

同盟国も敵対国もお構いなし。トランプ版「ガイアツ」は世界恐慌を招くのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 4
    「吐きそうになった...」高速列車で前席のカップルが…
  • 5
    紅茶をこよなく愛するイギリス人の僕がティーバッグ…
  • 6
    ロシア黒海艦隊をドローン襲撃...防空ミサイルを回避…
  • 7
    反トランプのうねり、どこまで大きくなればアメリカ…
  • 8
    フジテレビが中居正広に対し損害賠償を請求すべき理由
  • 9
    流石にこれは「非常識」?...夜間フライト中に乗客が…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 1
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 2
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 3
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 4
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    5万年以上も前の人類最古の「物語の絵」...何が描か…
  • 7
    【クイズ】日本の輸出品で2番目に多いものは何?
  • 8
    「最後の1杯」は何時までならOKか?...コーヒーと睡…
  • 9
    ロシア黒海艦隊をドローン襲撃...防空ミサイルを回避…
  • 10
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中