未発表研究が示す「大胆で進歩的な」財務担当者の時代
(1)プレイメーカー:未来に向けて組織を"まとめる"人
(2)ゲームチェンジャー:未来を"変える"人
(3)ストラテジスト(戦略家):未来を"描く"人
(4)ポリッシャー:未来を"磨く"人
(5)インプリメンター(実行者):未来を"築く"人
全米CFO連盟の研究では、対象の財務プロフェッショナルたちの中では(3)のストラテジストの要素がもっとも薄かったそうだ。
このストラテジストの要素が少ないという結果は、際立ったものだった。20人の対象者の中で、はっきりとストラテジストの役割を志向する人は1人もいなかった。ストラテジストの要素を示すスコアが7(満点は10)より大きかったのは、たった1人だった。GC Indexの創設者であるネイサン・オット氏によれば、この結果は、財務の専門家に限っては決して驚くものではないという。
オット氏はDialogue誌のインタビューに次のように答えている。「すべての職種を対象にした場合、20人いたならば、たいていはそのうち4人か5人はストラテジストのスコアが7以上になります。しかし、今回、財務のプロフェッショナルに絞った場合にはそうはなりませんでした。似たような立場の別の20人を連れてきたとしても、結果は変わらないと思います。私たちのこれまでのデータや、さまざまな組織と関わってきた経験から、それははっきりしています」
今回、対象となった財務プロフェッショナルのグループにストラテジストの要素が欠けていることから、どんなことが言えるのだろうか。全米CFO連盟のニック・アラコ・ジュニアCEOは次のように指摘している。
ストラテジストが必要となるような課題が生じるかどうかは、業務次第である。つまり業務によっては、これまで、ビジネス上の機能を全体的に見渡す必要がなかったために課題が生じなかった。かつては財務がそうだった。だから、財務の分野では戦略的思考の必要性が感じられることも、実際に育まれることもなかった。
「私は、財務幹部にストラテジストが不足しているという推論にはあまり同意できません。不足しているのではなく、必要とされてこなかったのです。今ようやく、財務プロフェッショナルたちが戦略的なマインドセットを示すことが歓迎されるようになってきました。その機会も増えています。財務分析をベースに方針や根拠を考えていくことは、企業の成長戦略を策定・実行する上で役に立ちます。おそらく、多くの企業がそのことを認識するようになってきたのでしょう」と、アラコ・ジュニアCEO。
「それは、すなわち財務が、かつてサイロ化(部門間などで互いに連絡・連携することなく独自に業務を行う様子)しているとみなされた各業務の壁を越えていこうとしているからにほかなりません。財務プロフェッショナルの戦略的な能力は、企業全体の意思決定において重要な役割を果たすようになってきているのです」
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