どうなるポスト朴槿恵の韓国
加えて、国務総理はじめ閣僚や重要人事の任命に際して行われる国会人事聴聞会を上手く乗り切ることができるかも不透明である。李明博、朴槿恵政権の発足時でさえ、聴聞会で少なからぬ人事が頓挫したことに鑑みれば、政権発足準備期間のない次期政権はより厳しい状況に直面するかもしれない。
しかも、現在の国会勢力分布を見れば、どの党も過半数を持っておらず、誰が大統領になっても、人事聴聞会に限らず、円滑な国政運営のためには他党との協力や連携が不可欠な状況である(共に民主党121、自由韓国党94、国民の党39、正しい政党32、正義党6、無所属7)。
果たして、新大統領は、前大統領の弾劾、罷免という事態によって傷ついた国民の心を癒し、分裂した国論をまとめることができるのか。次期韓国政権は、あまりにも重い課題を背負ってスタートすることになる。
【参考記事】
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[執筆者]
西野純也
慶應義塾大学法学部政治学科教授、同大学現代韓国研究センター長。
専門は東アジア国際政治、朝鮮半島の政治と外交。慶應義塾大学、同大学院で学び、韓国・延世大学大学院で政治学博士号を取得。在韓日本大使館専門調査員、外務省専門分析員、ハーバード・エンチン研究所研究員、ジョージ・ワシントン大学シグールセンター訪問研究員、ウッドロー・ウィルソンセンターのジャパン・スカラーを歴任。著書に『朝鮮半島と東アジア』(共著、岩波書店)、『戦後アジアの形成と日本』(共著、中央公論新社)、『朝鮮半島の秩序再編』(共編、慶應義塾大学出版会)など。