最新記事

朝鮮半島

北朝鮮、弾道ミサイル4発発射 3発は日本の経済水域内に到達

2017年3月6日(月)13時37分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

写真はソウルで撮影(2017年 ロイター/Kim Hong-Ji )

<北朝鮮が6日朝、同国西岸から弾道ミサイル4発を日本海に向けて発射した。3発は日本の排他的経済水域(EEZ)に落下したとみられる。米韓両軍が1日から、北朝鮮の脅威に備えた定例の合同野外機動訓練を開始しており、これに対する報復の動きとみられる>

ロイターなどによれば、韓国軍は、北朝鮮が6日午前7時36分に飛翔体を発射したと発表した。飛翔体は、ミサイル発射台がある東倉里(トンチャンリ)から発射され、北朝鮮の東岸沖に落下したという。

米韓両軍が1日から、北朝鮮の脅威に備えた定例の合同野外機動訓練「フォールイーグル」を開始しており、これに対する報復の動きとみられる。韓国軍は、飛翔体の種類については分析中だとした。

日本政府は、菅義偉官房長官が6日午前に緊急会見し、北朝鮮が同日午前7時34分に弾道ミサイルを発射したと発表した。ミサイルは4発発射され、そのうち3発が日本のEEZ(排他的経済水域)に落下したという。

菅長官は、日本の安全保障への重大な脅威であり、断じて容認できないと述べ、北朝鮮に対し厳重に抗議したと語った。

【参考記事】米韓、2カ月間の大規模合同軍事演習を開始 北朝鮮の脅威を警戒

複数のミサイルを同時発射は異例

北朝鮮が発射したミサイルは、韓国軍の分析が進むにつれ、中距離弾道ミサイル(IRBM)と推定された。北朝鮮が同時に4発ものミサイルを発射したのは異例のことだ。

聯合ニュースなど韓国メディアによれば、今回発射されたミサイルは、先月初めて発射された「北極星2型」に、スカッド- ER、ノドンなどを加えた形で打ち上げられた模様だ。韓国軍の合同参謀本部が発表したところでは、ミサイルは北朝鮮の平安北道東倉里から発射され、飛行距離約1,000km、最大高度は約260kmに達したという。

【参考記事】サードは無力? 北朝鮮の新型ミサイルは米韓の戦略を無効にする

北朝鮮は毎年3月ごろに米韓が合同で行う軍事演習にぶつける形で、最近3年間に38発のミサイルを発射している。今年も3月1日から米韓による合同軍事演習「フォールイーグル」が開始されており、北朝鮮はこれに強く反発していた。さらに、韓国と在韓米軍が北朝鮮のミサイルの脅威に対抗するため配備を進めている高高度ミサイル防衛システム(THAAD)が、予定地の取得が終わり具体的な配備スケジュールが見えてきたことも、北朝鮮がミサイル発射を行うきっかけとなったと見られる。

ミサイルの性能アピールできる発射場所を選ぶ?

今回ミサイルが発射された場所が、中国の渤海湾に近い平安北道鉄山郡東倉里だったことに関して、発射地点を北朝鮮の西端にすることで、可能な限り飛行距離を増やし、ミサイルの性能と飛行距離を誇示しようとしたという分析が出されている。

今回のミサイル発射について、韓国の黄大統領権限代行は、「在韓米軍によるTHAAD配置を早急に完了して、北朝鮮の核・ミサイルに対する防御体制を整える」と語り、従来通りTHAAD配備を進めることを明らかにした。

THAAD配備について、射程圏になることを理由に強行に反対する中国が、今回の北朝鮮のミサイル発射を受けて、どういう反応を見せるかも注目されるところだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 10
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中