メイ英首相が今月EUに離脱通知 ブレグジットは実戦モードへ
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3月1日、英国のEU離脱(ブレグジット)問題は、水面下の駆け引きにとどまる「偽りの戦争」の段階からついに「実戦モード」に突入する。写真は英国旗。ロンドンで昨年6月撮影(2017年 ロイター/Toby Melville)
英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)問題は、水面下の駆け引きにとどまる「偽りの戦争(phony war)」の段階からついに「実戦モード」に突入する。場合によっては悲惨な事態になるだろう。
メイ英首相は今月、EUに正式に離脱を通告する方針。これを受けてEUは4月に首脳会議を開催する見通しで、加盟各国は交渉の行方に影響する決断を迫られる。これが英国が最初に交渉すべき項目や、後回しにしなければならない問題、そして交渉自体の枠組みなどを左右する可能性がある。あるEU高官は「非常に重い政治判断になるだろう」と述べた。
このEU首脳会議は、ブレグジット問題で加盟国の結束が試される最初の機会になりそうだ。各国首脳は、英国が交渉を有利に進めるためEUの分断を図ってくることを警戒している。
一部では、他のさまざまな問題で既に豊かな国と意見が合わない東欧の国民所得が低い諸国は、特に英国からの資金援助になびきやすいと懸念されている。
別のEU高官は、加盟国の団結を維持する取り組みについて「英国が『分断して支配する』作戦を始めれば、台無しになりかねない」と不安を漏らした。
複数の外交官によると、メイ首相は今月20日ごろに離脱通告を発する可能性がある。それに伴ってトゥスクEU大統領は、早ければ4月6日にも首脳会議を開くとみられる。
EUが目標とする2018年10月までに英国との交渉合意にこぎ着けるには、夏までに2つの問題を整理して対応する必要がある。1つは加盟国が交渉担当者に付与する指針の内容に合意すること、もう1つはEU欧州委員会が英国との間で離脱に関する諸問題についてどこまで掘り下げ、どのような日程で進めるかを決めることだ。
3人目のEU高官は「われわれは交渉課題と順位付けで合意しなければならない」と語り、個別の経済分野を切り離して協議しようとする英国の動きと対決する形になると付け加えた。
フランスとドイツの政府当局者も同様の見方をしている。